【utit】甘く甘く溶けるまで (ページ5)

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坂田 × ライブページ5

貴女side

いつもとは違うアレンジされた髪型、お出掛け用のメイク、”赤色”のお洋服に身を包まれ、私は家を出た。

私の彼は『歌い手』で『浦島坂田船』というグループに所属するとなりの坂田さん。

朝から念入りな準備を終えた私は先日から開催されている全国ツアーのファイナル、東京公演へ向かっていた。
もちろん、チケットは自分でとった。そしてツアーやその為の準備や打ち合わせでここ最近まともに会えていなかったこともあり彼にこのことは伝えていない。

(どんな反応するかな？)

・

ライブも順調に進行し、本人たちも会場もボルテージが最高潮に達した時
ーーパチっ。彼と目が合った。とはいえ、それほど見えやすい席でもないため勘違いかもしれない。

(あぁ。本当に素敵。)

帰ってきたら実は今日いたんだよーって驚かせて、たくさんたくさん感想を伝えよう。

・

ザワザワ。全ての工程が終えられ、各々帰る準備をしていた。それは私も例外ではなかった。
ライブに集中するために電源を落としていたスマホを立ち上げると同時に入る何件かの通知。
そこに現れた一つには
［坂田：A、もしちゃうかったらあれやねんけど、今日ライブおった？！？！？！？！］
と混乱中であることが文章から伝わる様な彼からのメッセージ。
既読をつけた瞬間、待ってましたと言わんばかりに震えるスマホ。そこに表示された呼び出し相手は

(坂田さん！？！？)

「もしも『ちょ、A？！あ、まだ会場おるやん！！ちょ迎えに行く、、、けないから、仲良いスタッフ出口に回す！こっちきて！待ってるから！！！』ーーーっぷつ

一方的にこっちに来いと伝えた彼は電話を切った。

出口へ向かうとそこで本当にスタッフさんに連行されてしまった。

(見る人が見たらこれ私何かやらかした人、、、)

裏口、と呼ぶに相応しいそこから私は先ほどまでいた建物へと逆戻りしていった。
首から提げる様に促された関係者パスを受け取り室内へ入り進む。
『となりの坂田様』と書かれた部屋の扉の前で

「どうぞ。中でお待ちです。ごゆっくり。」

いまいち状況が掴めず混乱する頭で「ありがとうございます、」と伝えコンコン。とノックする。
扉が少し開いたかと思うとグンっと引っ張られた。