もしも、貴方に言えたのならば (ページ4)

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全てが変わった日常ページ4

「まさかルスキニアを助け出す人がいるなんてねー」
空族のファムがポテパンを作りながらそう呟いた
あの時ルスキニアを助け出してから、サドリ元帥の孫という噂のあったファムのもとに向かったのだ
まさか自分と総統を助けてくれるとは思ってなかったから少し嬉しかった
それにファムとジゼルは総統の事を悪く思っていないように感じる
「けどAさん、これからどうするの？」
丁度外での手伝いを終えたジゼルにそう尋ねられた
「ジゼルさん…」
今はファム達の家に居候させてもらっているけれど、あまり彼らに迷惑をかけるわけにはいかない
隣で椅子に座っているルスキニアも、かなり気まずそうだ
「ジゼ、そんな事聞く必要ある？」
ポテパンを器用にひっくり返した後、ファムがジゼルに問いかけた
「ファム？それって一体どういう…」
ファムが何を言いたいのか理解できていないジゼルにファムは呆れたように
「迷う翼は風が支えよ、私は二人を助けたい！」
焼けたポテパンを皿に移してファムが言った
「やっぱり、ファムはそう言うと思った。けれど…」
やはり私と総統の事は信用出来ない
そう言いたげだった
もうこれ以上二人に迷惑はかけられない
そう思ったからこそ、私は立ち上がり
「ファムさん、ジゼルさん！」
二人の視線が私に集まる
「ごめんなさい、流石に二人とここの皆さんに迷惑はかけられない。私は総統と他に行く宛を探す」
「いや、待て」
そう宣言した私を止めたのは以外にも総統だった
「俺が一人で出て行く。Aはここに残るかアデスに帰るか好きにすれば良い」
「いやっ…そういうことじゃなく…総統！」
「後、俺はもう総統ではない。その呼び方はやめろ」
立ち上がり、毛布として私が渡した布を体に巻き服が見えないようにした総統に私はなんて言えば良いのだろうか？
「ねぇ待ってよルスキニア！」
ファムがルスキニアの前に立つ
重く、冷たい沈黙が流れる
ジゼルに目をやると、彼女もどうしたらいいか分からず立ち尽くしていた
そんな沈黙を解かすように外から足音がした
「おーい、…ってお前ら何してんの？」
「フリッツ！？」
ファムが驚いて入り口の方を見る
フリッツと呼ばれた青年は状況が分からないのか混乱していた
「どうしたの？フリッツ」
ジゼルがフリッツに話しかけると、フリッツは要件を思い出したのか
「族長が、ルスキニアに用があるって」