36.揺れる警察庁 1200万人の容疑者12 ページ1
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あまりの衝撃に立っていることすらままならない。
ガラガラとあちこちが崩れる音で
男が隠し持っていた起爆スイッチを押したことを理解した。
それから、ここに駆け付けた上司のことも。
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「っ、大丈夫か!?」
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なんで、って最初に思った。
こんな短時間であの男に辿り着いた降谷さんなら
起爆スイッチのことだって絶対に気づいていたはず。
だったら撃ち抜くべきは"そっち"の手だった。
降谷零はそういう男だと思っていたし、思っている。
だけどその上司はというと、座り込んだ私の頭上で
拳銃を持っていない方の手だけで大きな瓦礫を支えている。
これが倒れてきてたら死んでただろうなぁ。
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「間に合ってよかった。ほら、捕まれ」
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降谷さんの肩を借りて立ち上がったら
ふらりと視界が揺れた後、頭に鈍い痛みが走る。
そうだ...結構な強さで殴られたんだった。
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「降谷さん、あの男は...っ」
「俺が何も手を打っていないと思うか?」
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降谷さんの采配は凄まじかった。
駐車場に辿り着く頃には、風見さん達が既に男を捕らえていて
殺人現場は木っ端微塵になってしまったものの
捜査一課の協力もあってか既に全員が避難済み。
建物の被害総額はさておき、負傷者はなかったようだった。
きっと、私が与えられた使命すら全うできなかった間に
映画で見るようなたくさんのことが起きたんだと思う。
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「.........随分、早い到着でしたね」
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促されるまま、降谷さんの愛車に凭れるようにして座り込む。
降谷さんが救急隊員を呼んでくると言って駆けて行ったら
目の前を横切った男が諦めたような声で吐き捨てた。
両サイドには公安警察、両手には手錠が掛けられていた。
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「日本の警察って、優秀でしょ...」
「...あの頃の自分がコードネーム持ちになれなかった理由がわかった気がします。
この甘さが、ボスのお眼鏡に敵わなかった原因なんでしょうね」
「甘さ?」
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警察官のうちの一人が話を切り上げるように促して
はいはい、と男は鬱陶しそうに返事をして足を踏み出す。
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「ふん。あなたに引き金を引けなかった僕の負けです」
「............は?」
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口を開けて男を見上げた私に
男は、最後にほんの少しだけ口角を上げて私を流し見た。
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です!!!大好きな作品の1つになりました!これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます! (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね!これで読むの2回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください!応援してます。ありがとうございました!! (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました!!降谷零という人物が更に好きになりました!!話を読んでいて、表現の仕方?がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました!!これからも頑張って下さい!! (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2019年3月8日 16時