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「 おはようございまーす 」


第1ボタンをしっかりと閉じて、リボンも上まできっちりと上げる。キラキラと光る装飾品なんかは外してポケットに突っ込んだ今、まさにすっぴん状態である。


誰だろう、こんな朝の活動を考えた人は。


不意に出そうになる欠伸をなんとか噛み殺し、風紀委員と主張された腕章に恥じぬ行動。



「 ぁ ... 神代先輩。

 おはようございます、相変わらずですね 」



自分の第1ボタンの辺りをトントン、と指で叩いた。


普段は人のことを注意できるような服装をしている訳では無いが今この場に限って私は優等生である。



「 おや、一色くん。おはよう。

 今日は服装検査の日かい ? すっかり忘れていたよ 」



いつものようにふふ、と笑う先輩。


かっこいい。何その笑顔朝から眩しい。


しかし服装を正す気は無いのか手すらかけようとしない目の前の彼。


直してもらって良いですかね。減点ですよ。嘘です。



「 服装っていうか、あれですね。

 挨拶キャンペーン的な ? 」



「 なるほど。大変だねぇ朝から。

 僕はもう行くけれど頑張って、それじゃあまた 」



流石にここで立ち止まって話すわけにもいかないので、軽い挨拶を交わした後その場を立ち去ってしまった先輩。


いやもう朝から顔みて挨拶をしただけで今日1日頑張れるしご褒美じゃんそんなの。助かりすぎる。



「 A〜、にやけてるよ 」



「 ちょっと言わないでよ杏。恥ずかしいじゃん。

 朝からあのビジュはつよい。あといい匂いした 」



すれ違い間際にフローラルな香りが漂ったがあれはおそらく柔軟剤の香り。
とても良い。高評価である。


若干引いた様子の隣の彼女なんて知らぬ存ぜぬ。


何食わぬ顔をして、その後も腕章に恥じぬ態度で登校して来る方々におはようございますと挨拶を投げ続けた。




​───────





「 今日絶対良い日になるわ。」



「 あ、そういえばそっちのクラス午後に小テストがあるって昨日彰人が話してたけど大丈夫 ? 」



「 えっ 」




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作者名:水瀬 | 作成日時:2023年1月22日 10時

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