君と、違う世界を見た。【サーヴァンプ】 (ページ4)

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耳を劈く。ページ4

A side

…いつの間にか、寝てたらしい。

起きた時に服が変わってた。

白いパーカーに、黒いズボンに裸足だった。

フードの内側は、黒と白のチェックになっていて、イヤホンも黒。

白と黒しかない服だった。

スマホは、ない。

空間は、ただぐにゃぐにゃと捻じ曲がっているようで、今私が立っているのも定かでない。

一本道になっていて、両側は真っ黒だった。

ただの黒の床なのか穴なのかさえわからない。

…取り敢えず、歩こう。

何か、あるだろう。

“君の罪は?”

“あは、はハはははハはッ!”

“…死んで、しまえばいいよ”

“痛い痛い痛いいたいイタイ!”

耳を劈くような声が四方八方から聞こえる。

今度は、ちゃんとした人の声が聞こえた。

「…お前は、何故ここに来た」

…この道は、一本道だったはずだ。

なぜ、後ろから声が聞こえる？

「幻術で一本の道だと思い込ませた。

答えろ。何故だ」

「………親友を生き返らせるため」

それ以外、ない。

後ろを見ないままそう答える。

見てはダメな気がした。

「…それより、その声。

聞き覚えがあります。

ユノとリノのお父さんですよね。

アイヌの神様の。そして、サクヤ様も」

もう一人、気配がした。

「…あったり～♪

見かけによらず、鋭いのね」

…あれ、思ってたんと違うぞ。

もう少し…なんか違う。

「…昔から、人の気配には敏感だったので。

…お願いです。

あいつを…琴葉を、生き返らせてください」

「…お前にもわかっているだろう。

亡者を生き返らせると、現世がパンクすると」

「わかってます。

…だから、私の命と引き換えに。

琴葉を生き返らせてください」

少しの沈黙があって、透き通るような女性の声が耳に届いた。

「…それは、天界で禁じられているのよ。

だから、私の質問に答えたらいいわよ。

ただし、正しい答えなら、の話だけれど」

「…十分です。なんですか」

ふわりと、枝垂桜の香りが鼻腔をくすぐった。

サクヤ様が口を開いた。

「…………貴方の犯した、一番の罪は？」

…一番に初めに出たのが、嘘をついたこと。

だけど、違う。そんなものではない。

世界を嫌ったこと。

世の中を憎んだこと。

違う、そんなことではない。

もっと簡単で、シンプルで、自分が一番愚かで、醜いと思った時の罪。