センセンフコク/黒赤 ページ5
ウマ娘黄金時代の再来と言われた『紀章』の時代、突飛な才能とも言われる、オールラウンダーのウマ娘が2人生まれた。
方や、デビューからここまでダート芝共に無敗、皐月賞と日本ダービーを制した金と白の毛並みを持つトレセン学園生徒会長のウマ娘。
方や、デビューからダートのOPやG3,G2の1着を荒らし、皐月賞と日本ダービー共に2着を飾った黒の艶やかな毛並みを持つトレセン学園書記のウマ娘。
名前を、グルッペンとトントンと言った。
パドックに2人が出れば、観客はいつだって歓声を浴びせた。彼等は互いに良きライバルであり、信頼出来る学園での仲間である。そして今日は、芝3000m長距離のレース、菊花賞の開催される日であった。
グルッペンもトントンもこれには勿論と言った感じで出走を表明したが、世の中が注目したのはやはり2人の三冠の状況についてである。グルッペンは三冠のうちふたつを制しているのに対し、何故どちらも2着で三冠を逃しているトントンが菊花賞に出るのかは誰も知る由が無かった。
それでも観客は2人を応援し続けた。三冠のあるなしに関係なく、彼等の走りは人を惹きつける『闘争』がある。
今日も、パドックに優雅に2人が登場した。
歓声が鳴り響く。
「よぉグルッペン、三冠まであと一息やな。ほんまにこんなに偉くなりおって」
「ふん、ダートの面じゃ俺はまだ戦えてないからな。クラシック三冠が終わったら次はダートでの勝負だゾ。」
「はー、まじで俺の事振り回すのやめてくれへん?芝終わったら次ダートとか、子供の鬼ごっこやないんだから。」
「言わせておくさ、さぁ、宣戦布告といこうじゃないか?」
「三冠目を、取ってやる」
最後の言葉はどちらのものとも分からなかったが、彼等の間には火花が散るものとなった。彼等がパドックから退場しても、観客の熱は冷めやらなかった。どちらが勝っても観客は喜ぶだろうし、ファンは増えるだろう。しかし彼らは知ることも無ければ、知る必要もない。
彼等が走っている『本当の理由』は、互いの事がこの世で1番憎く信頼しているからこそ、譲れないものがあるということなのだ──。
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「お前、三冠取ったら次はダートも荒らすつもりなん?ほんま、どこまでも、俺の見せ場全部取りやがって...」
「はっ。見せ場?見せ場ならあるだろう、だからこそ俺とお前は戦ってるんだ。現に...俺もそこまで余裕は無い。いくぞ」
合図とともに、菊の花が開き始めた。
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うん - 両方好きなので、とても嬉しかったです!!リクエストよろしければ、e/mさん書いてくれますか…! (2022年10月27日 8時) (レス) id: 23e75d003f (このIDを非表示/違反報告)
歩希/Ayumu(プロフ) - あさん» コメント、並びにリクエストありがとうございます。ぜひ書かせていただきますので、気長にお待ちください。 (2022年9月29日 2時) (レス) id: 883edcee1d (このIDを非表示/違反報告)
あ - とても面白かったです…! リクエストが良いのか分かりませんがご迷惑でなければ シ/ン/ジ/ンで書いて欲しいです…! (2022年9月28日 23時) (レス) id: b70f974580 (このIDを非表示/違反報告)
菊(プロフ) - あああああああ…。有難うございます大好きです需要しか無い…。(拝んだ) (2022年9月26日 11時) (レス) id: 073ffef2d2 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ - ウワ好ッき 作者さんありがとうございます!!! (2022年9月24日 23時) (レス) id: 1869c0d867 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:歩希/Ayumu | 作成日時:2022年9月23日 22時