手を繋いで、一歩。/水 ページ3
今年もスカウトの時期がやってきて、開かれている模擬レースを見にやってきた私。今日開催されているレースは芝の16人フルゲート、2000ｍ中距離の左回り。中距離を走りきれる子は2つのパターンに別れ、それは『マイル寄りのぎりぎり走りきれる子』と、『長距離寄りの余力を持って走りきれる子』になる。さてどんな逸材がいるかとゲートインを見ていると、ひときわ目を引くウマ娘がいた。
(...クールそうだな。周りに一切感化されてない。ただ、自分の前だけを見てる...)
高身長に似合う短くはねた金髪に、ぴんと長い耳が立っている。尻尾はゆらりとゆるく揺れており、安定感を私に及ぼした。ゲートインが完了して構えの姿勢になっても、その安定感は失われていなかった。いったいあの子は、どんな走りをするんだろう...
「スタート！」
ガコン、ゲートの開く音がした。
彼を目線で追い続けていると、随分とロングストロークでゆったりと走っていることが分かる。まるで、レースに興味などないような、そんなだらりとした、それでも走る気だけはあるような走り方。自分の勘が鈍っている自覚は無かったのだが、どうやら今回は外見で判断してしまった私だったようだ。
収穫が無かったな、と、先ほどまでの期待と興味はすっかり失われていた。でも、どこか、このレースの最後を見てみたくなって、帰路につく気はしなかった。
ただ目を奪われていると、第4コーナーを曲がって最終直線に入ろうとしたとき、最後方だった彼がグッ、と足に力を入れた体勢をとった。あ、と思った瞬間、彼は外側から電光石火のごとく、みるみる15人を追い抜かしていった。ゴール手前では、後ろの子との差は3バ身もあった。
(すごい、やっぱり...勘は鈍ってなかった。あんな走り、今まで見た中で初めてだ！)
是非ともあの子をスカウトしたい、そう思ってレース終わりに彼に声をかけようと彼に近づく。多くのトレーナーに囲まれてスカウトを受けている彼に選んでもらうのは至難の業だろうが...と、少し離れたところから見つめていれば、ふっと顔をあげた彼と目があった。
綺麗な空色の瞳に、さらさらと風に流れる短い金髪。汗が輝いて、それだけで人形のような美麗さがあって、とても――心を奪われてしまった。あ、と声が漏れる。高身長な彼の目は、しっかり私に向けられたまま、彼は私に歩み寄ってきていた。
そして彼は、私の肩を掴むと、トレーナーたちに向きなおった。
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うん - 両方好きなので、とても嬉しかったです！！リクエストよろしければ、e／mさん書いてくれますか…！ (2022年10月27日 8時) (
レス) id: 23e75d003f (このIDを非表示/違反報告)
歩希/Ayumu(プロフ) - あさん» コメント、並びにリクエストありがとうございます。ぜひ書かせていただきますので、気長にお待ちください。 (2022年9月29日 2時) (レス) id: 883edcee1d (このIDを非表示/違反報告)
あ - とても面白かったです…！ リクエストが良いのか分かりませんがご迷惑でなければ ｼ/ﾝ/ｼﾞ/ﾝで書いて欲しいです…！ (2022年9月28日 23時) (レス) id: b70f974580 (このIDを非表示/違反報告)
菊(プロフ) - あああああああ…。有難うございます大好きです需要しか無い…。（拝んだ） (2022年9月26日 11時) (レス) id: 073ffef2d2 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ - ウワ好ｯき 作者さんありがとうございます！！！ (2022年9月24日 23時) (レス) id: 1869c0d867 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：歩希/Ayumu | 作成日時：2022年9月23日 22時
