やくしょ ページ5
服を着替えて、病院に行った。精神科で、精神に異常をきたしていないかの検査をしたようだ。
見目は子どものそれだけれども、中身は大人故に、子どもに伝えるために言い換えた伝え方では寧ろ伝わらない。どこの名探偵だ、と一人でツッコミをしたのはできれば言わないでおきたい。
そして今は役所へ車で向かっている。戸籍なんてそう簡単に作れるもんなんだろうか、と思いつつ、しっかり着てきたミスターのベストを撫でる。
ベストは、子どもと大人、女児と男性の体格差というのは埋められないもので、かなりぶかぶかだ。
「ところで、そのベストはとても大事みたいだね」
「……大切な人のものです。思わず持ってきちゃったけど、会えたら返さないと」
大切な人、というと少し語弊がある気がしないでもないが、決して間違ってはいない。こちらに来て、初めて会えた楽しく喋れる人なのだ。ずっと好きだったこともある。
「そうかそうか。それにしても君はずいぶんと大人っぽいね。喋り方とか」
「そうですか？ 舌足らずですけど」
「はは、言葉の選び方とかのことさ」
まさに今の「舌足らず」とかね、と刑事さんは笑う。
話し方を考える必要があるだろうか。体が急に八歳児になったと言っても信じてくれはしないだろう。そこらを気をつけていかなければいけないかもしれない。
「ま、とにかく着いたみたいだから降りてくれるかい」
促され車を降りる。
そして役所に入って、手続きを始めたのはいいが、たいへんヒマだ。
この世界に来たなら、個性を使ってみたいと思った。が、どう使うのかもわからない。
ううん、と唸っていると刑事さんに声をかけられる。
「ひみこちゃん、自分の名前の漢字はわかる？」
「え？ えっと……」
刑事さんの手元の紙を見る。苗字の欄に書かれた、渡我の文字。
渡我？ 渡我で、ひみこ。……渡我被身子？ それが私の名前？ いわゆる、成り代わりとかいうやつだろうか。どこの夢小説展開だ。
とりあえず、ペンをもらって名前の欄に被身子と書く。
「わたしは渡我だったんですね」
「みたいだね」
刑事さんにペンを返す。
私が本当に渡我被身子に成り代わって、渡我被身子がいないなら。私が、主人公たちを襲撃することになるのか。
渡我被身子はヴィラン側で、光である主人公たちに対して闇。
私は、できることなら平穏に生きていたいから、光を支持するモブあたりが良かったなぁ。と、心中ぼやいてみる。
先の人生が、早速不安になってきた。
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カナ - トガちゃんの成り代わりは私得ですね。笑更新頑張ってください。 (2019年1月29日 23時) (
レス) id: 270e06f60b (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ@無理ゲーはパス。 - ツインテトガちゃん可愛い (2019年1月14日 14時) (レス) id: e44d61dba0 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - 成り代わり！しかもトガちゃん！もう大好きが勢揃いで嬉しいです！更新大変だと思いますが頑張って下さい！ (2018年12月29日 1時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
ハムぴょん - ああ面白いぃぃ！！！とがちゃん好きだから嬉しい！更新頑張ってください！！！！！ (2018年12月17日 21時) (レス) id: e2495abf65 (このIDを非表示/違反報告)
愛と正義 - めちゃ面白いです！！ (2018年11月26日 22時) (レス) id: 270e06f60b (このIDを非表示/違反報告)
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