みすたー ページ4
目がさめると、知らない天井が目に入った。というわけでもなく、路地裏のまま。バキバキに固まった体をほぐしがてら伸びをすると、自分の上に何かが掛かっていたことに気づく。
ずり落ちてしまったそれを拾うと、黒色のベスト。昨日ミスターが着ていたものと思われるが、隣を見てもミスターはいない。
立ち上がりキョロキョロと辺りを見回しても、誰もいない。
何か落ちていないかと地面を見ても、落ちているのは、ぽいと投げ捨てられた空きペットボトルなどのゴミくらい。
ベストだけ掛けて帰ってしまったんだろうか。少し、いや結構寂しい。
肌寒いし、放置しておくわけにもいかないので、ベストに腕を通して路地裏を出る。
空は既に明るく、外の大通りには人もたくさんいた。
「ミスター……」
ぽつ、と呟いても、人々の乱れた足音にかき消される。
きゅ、とベストを握って家に向かって歩き始める。ちゃんと家に向かえているのかすらわからないけど。
裸足で歩くコンクリートは痛かった。
一度歩いただけのうろ覚えの道を、なんとか思い出しながら家にたどり着いた。
家の周囲には刑事ドラマなんかにありがちな黄色と黒色のテープが貼られ、警官がたくさんいた。
「……あの」
声をかけると、一人の警官が私に目線を合わせて屈んだ。
「んー？ どうした嬢ちゃん」
「わたしが通報しました」
警官の目が見開かれる。「じゃあこの家の子かい」「うん」なんて言葉を交わし、警官に連れられて偉い人(たぶん)のところへ行く。
その人は、目に生気がないというか、光がない。少し怖かった。
「君が？」
「うん。お父さんとお母さん、ほんとに死んじゃったんですか？」
首を傾げると、その人は間をあけてゆっくり頷いた。
「……残念だけど」
「じゃあよかった」
本心だった。けど、親がいないと食事もできない。学校には、こちらの人生では行ったことがないけど。
「……お嬢ちゃん、名前は？」
名前。親の口からそれらしきものは聞こえたので、それを答える。
「ひみこです」
「ひみこ？ 不思議な力がありそうな名前だ」
その人は立ち上がる。
「わたしは少年院に行くんですか？」
この後の私の如何を問う。その人は驚いたあとに口元に笑みを浮かべて首を横に振った。
「病院に行ったあと、少し難しい手続きをするんだ」
「こせき、ないんですか？」
その人はまた驚いて、難しいことを知ってるんだねと笑った。不思議と安心できた。
目は怖いけど。
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カナ - トガちゃんの成り代わりは私得ですね。笑更新頑張ってください。 (2019年1月29日 23時) (
レス) id: 270e06f60b (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ@無理ゲーはパス。 - ツインテトガちゃん可愛い (2019年1月14日 14時) (レス) id: e44d61dba0 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - 成り代わり！しかもトガちゃん！もう大好きが勢揃いで嬉しいです！更新大変だと思いますが頑張って下さい！ (2018年12月29日 1時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
ハムぴょん - ああ面白いぃぃ！！！とがちゃん好きだから嬉しい！更新頑張ってください！！！！！ (2018年12月17日 21時) (レス) id: e2495abf65 (このIDを非表示/違反報告)
愛と正義 - めちゃ面白いです！！ (2018年11月26日 22時) (レス) id: 270e06f60b (このIDを非表示/違反報告)
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