かわかす ページ18
リビングに戻ると、寧人は寝る準備万端。寧人のお母さんはドライヤーを持ってテレビを見ていた。
「もどりました」
「ヒミコおかえり!」
寧人がパッとこちらを向いた。なんだかずっと元気というか……。
「ヒミコちゃん、おかえり。こっちいらっしゃい、乾かすから」
ゆっくりとこちらを向いたお母さんのところへ行き、ポンポン、と示された場所に座る。
「寧人、先に寝てなさい」
「えー!」
「寝ろ」
「はい」
低いトーンの声。そんなにドスの効いた声出せたのか。寧人の母の意外性だ。
そんな母が怖いのか、寧人は一度は渋ったものの、低い声を聞くとすぐにピュッと廊下に消えた。
……苦笑いしかできない。
「ごめんねぇ。今乾かすね」
カチッという音と共に、ドライヤーの風の音が聞こえた。まだすこし濡れたままの髪に手を置かれ、ドライヤーの温かい風が当たる。
「熱かったら言ってね」
なんて言って丁寧に乾かしてくれる。
何年振りだろうか。こういう風に、誰かに髪を乾かしてもらうのは。
こちらに来る前は高校生で、髪なんか自分で乾かせるのが普通だった。こちらに来てからも、乾かしてもらったことなんてないし、ドライヤーを使おうとすると理不尽に殴られた。故に自然乾燥だったせいで、髪はボロボロだ。
そう思うと、ちょっと嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。
「……ねぇ、ヒミコちゃん。お家に親戚の人はいないの?」
乾かしながら、寧人のお母さんはそう言った。
「いないですよ。死んじゃったの昨日なので、……今は引き取ってくれる人を探してます」
あまり違和感を抱かれぬように、小学生らしい言葉遣いになるように。言葉を少々選びながら答えた。
まぁ、暴露したときに既に小学生らしくない言葉遣いをしてしまった。と、思うけど。
「……じゃあ、じゃあね? もしよかったら、うちに来ない? さっき、お父さんにも電話して、オッケーもらったの。ヒミコちゃんがよければ、だけど」
思わず、バッと振り向く。寧人のお母さんは、びっくりしたようだけど、すぐに柔和に微笑んでくれた。
カチ、と一旦ドライヤーを止め、「どう?」と首をかしげる寧人のお母さん。
「……ありがたい、ですけど……いいんですか」
「いいのよ。寧人もきっと喜ぶだろうし……」
可愛らしく「ねっ」と笑顔の寧人のお母さん。
「あ、……じゃ、じゃあ……よ、よろしくお願いします……」
急展開だけど、どうやら私の引き取り手が見つかったらしい。
99人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カナ - トガちゃんの成り代わりは私得ですね。笑更新頑張ってください。 (2019年1月29日 23時) (レス) id: 270e06f60b (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ@無理ゲーはパス。 - ツインテトガちゃん可愛い (2019年1月14日 14時) (レス) id: e44d61dba0 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - 成り代わり!しかもトガちゃん!もう大好きが勢揃いで嬉しいです!更新大変だと思いますが頑張って下さい! (2018年12月29日 1時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
ハムぴょん - ああ面白いぃぃ!!!とがちゃん好きだから嬉しい!更新頑張ってください!!!!! (2018年12月17日 21時) (レス) id: e2495abf65 (このIDを非表示/違反報告)
愛と正義 - めちゃ面白いです!! (2018年11月26日 22時) (レス) id: 270e06f60b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ