アリスが女王に勝つ方法

6 Alice ページ6

都がいくら身軽といっても、日本に来るには手続きやら編入試験やら、なんやかんやで時間がかかる。

それまでに、舞台はもちろんだけど、外堀も整えておかなくちゃ、ね？

忠誠心のないトランプ兵は、ワガママな女王と魅力的なアリス、どっちを選ぶか、手に取るようにわかる。


「あ、そのヘアゴムかわいいね！」
「へぇ、そうなんだ♪教えてくれてありがとう」
「そうだったの？ごめんね！誤解してたかも」

私は物の見事に、クラスのトップに登りつめていた。
ルックスがいい子はたいてい、スクールカースト上位にいれてもらえる。
ありがとう、ごめんなさいに加えてさりげなく、嫌味にならないように褒める。
ただ、それだけだ。

漫画やドラマで、いじめがテーマのものを見るたびに不思議だった。
こんな当たり前なことが、なんで出来ないのかと思うのは、イギリスの紳士淑女の血が入っているからなのか。
それとも…



「ね、黒原紀香サンだよね？紀香ちゃんって呼んでいい？」

ハートの女王と2人の腹心以外、味方のワンダーランドで、遠慮なんかすることない。

「…調子乗んなよ、てめえ」

案の定、チッと舌打ちして去っていった。


…あぁ、見事にシナリオ通りのことをしてくれたね？
見て、他のクラスメートの顔？

「いくらなんでも、アレはないよねー」
「Aちゃん、大丈夫？」

「…うん」

無理やり、頰をあげるような不自然な笑顔を浮かべれば、皆んなは私を心配して、女王からはもっと離れていく。



…Preparation is well-equipped(準備は整った)

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