【HQ】糖 度 1 2 0【短編集】

○二口堅治 ページ6

.


＊二口堅治の後の話となります


.


『う……』


目が覚めると、目の前には白い天井が広がる。

見慣れた天井ではないことに一瞬違和感を覚え……

そしてすぐに何があったのかを思い出す。

腰に広がる鈍い痛みと、全身の倦怠感がそれを事実だと知らしめた。

横を見ると、それはそれは気持ちが良さそうに寝ている堅治の姿。

なんとなくイラッとした私は、彼の首筋に手を滑らせ、


「いっ……て」

『ふっ』


がぶりと噛みつき、赤い痕をつけた。

その痛みにびっくりしたようで、堅治が目を覚ます。

堅治の胸に頭を乗せた状態で、彼に全力のドヤ顔を向ける。


「お前……」

『堅治が誰かに取られるの、やだから付けた』


ふふん、と勝ち誇って見せると、彼はため息をついて顔を覆った。


「……お前、この状況でよく言えるな」


ごろりと彼が体制を変え、彼に組み敷かれる形になる。

頰を撫でられ、その手が首、肩……と下がる。

堅治の顔が近づいてきて、私は分かりやすいほど狼狽した。


『ちょ、ちょっと待って。さっきしたばっか……った！』

「お返し」


何が！？と思い、鎖骨の方へ目を向けると、

見事に赤い痕が付いていた。

ついでに、と呟きながら、首筋にも痕を付けられる。

その間にも、彼の右手はずっと私の体の隅々を撫でていた。

その手つきがだんだんといやらしくなっていった。


『ちょっと、けん、じ……っ』

「んー？なに？」

『その手、やめ……っあ』


耐えきれず声が漏れる。

彼はにやりと笑い、ぐいぐいとお腹を押したり触れるか触れないか程度で太腿を撫でる。


「俺、まだまだ足んないんだよなー」


まだ行けるよな？

私は、妖艶に笑う彼をぼんやりと見つめる事しかできなかった。

ー
豆知識

鎖骨へのキス…相手への性的な欲求

首筋へのキス…相手への執着心

影山飛雄→←＊黒尾鉄朗

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す