【kgm】社長がダチとかラノベかな？

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げほごほと身体を揺らすハヤトを宥めながら内心死ぬほどドキドキしている。だってこんな少女漫画の俺様キャラみたいなこと訊いたの初めてだし。これで勘違いだったら恥ずかしすぎてハヤトの大学時代について社内で言いふらすまである。うーん、我ながら人間のゴミ。


「いやっ、あの、ッ今なんと……？」

「いやだから、お前私のこと好きなの？ って」

「……な、なんでそう思うんですか……」

「恋愛対象じゃないって言ったらなんかしょげてたから……他にも色々あるけど」

「…………」

「あの、ハヤトさん。私馬鹿なんで喋ってくんないと分かんないっす。ハヤトさん」


　両手で顔を覆うハヤト。それでも分かるぐらい顔や耳が真っ赤になっていて、いや乙女かよなんて。この反応、もしや当たりか？ いや「もしや」って言うか、ほぼ確信した上で聞いたけど。さて、どうなるか。


「いや、あの……」

「え、なんて？ ごめん周りの声がうるさくて——」

「あーそうだよ好きだよ、なんか悪いかよ畜生‼︎」

「……ヤケクソでワロタ」

「笑うんじゃねえ‼︎」


　文字起こししたら「m9(^Д^)ﾌﾟｷﾞｬｰ」とでも表せそうな勢いで指をさしてやる。バカでかい声で叫ぶものだから周囲のお客さんがこっちを向いたが、まあ居酒屋だし一回二回叫んだって大丈夫だろ。


「お客様、あまり大きな声を出されると……！」

「え、あっすみません、ごめんなさい！」

「……ほら〜怒られた〜〜」

「お前のせいだろ……‼︎」


　大丈夫じゃありませんでした。お客様‼︎ 困ります‼︎ あーっ‼︎ ……その後すぐにお酒が届き、レモンサワーをハヤトに手渡す。そして受け取ったそばから一気に流し込んでいるのを見て、本気で自棄になっとるやん……とまたキャベツを咀嚼する。さてさて、これからどうしていくべきか。一つはっきりしてるのは、これで付き合ってくれとか言われても断るということのみ。こいつを振るのは抵抗がない、何故なら私は以前から恋愛に興味が無いと連呼してきたから。今更振ろうと関係に軋轢が生まれることがないのだ。


「……まずさ、何がきっかけなの？ 私好かれるようなことした覚えないよ」

「あ〜……ハイハイ、んなことだろうと思ったよ……」

「え、なにそれ。私なんかそんな変なことした？」

「したよしたした、じゃその話からな？」


　ゔあー、と呻き声を一つ上げて。面倒臭そうに口を開き、もう二年以上前になる二人で飲みに行った時の話を始めた。

※作者より謝辞と大事なお話→←8_2

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