【kgm】社長がダチとかラノベかな？

EP.7_1 ページ23

やってしまった。めっちゃめちゃに、やってしまった。


「はぁ〜〜〜……」


　つい昨晩、友人の丹Aから電話がかかってきた。かかってきた時の状況から推察するに、何やら思い詰めているようだったから応答したのだが……お酒をガッツリ入れていた私は、まあとんでもない発言をしたわけで。三十まで相手がいなかったら結婚。何を言っているんだ加賀美ハヤト。もう私にも分からない、過去の私は一体何をどうしたらそういう発想になったんだ。しかも相手側が了承してしまったから無かったことにもできない、つまり詰み。終わった、もうどうにもできない。

　日曜の朝、ベッドの上で悶々と考える。今日が休みでよかった本当に、これで出勤日だったらわたくし死んでた。いやそれにしても、酒が入っていたとはいえ暴走しすぎだぞ加賀美。今更タメ口がどうのとかはいいけども、結婚って。なんですかそれ、大体——


「……彼女は、わたくしに恋愛感情を抱いてないって分かりきってたはずなんですけどね」


　彼女は。じゃあ、わたくしは？ ……もうここまで来たら分かるだろう。私は大学生の頃から、ずっと彼女に好意を寄せている。ずっと。我ながら一途すぎて笑けてくる、叶わない恋に……いや、叶うわけがなかった恋に数年間ずーっと想いを捧げてきたのだ。最初の方はなんとか振り向いて貰えないかと頑張ってみたが、彼女は全く振り向いてくれずにただ友人としての仲が深まるばかりだった。そしていつからか恋人になることを諦めて、「一番仲のいい友人」として彼女の隣に立ち続けることを選んだ。別にそれに苦しさや辛さはなかった、私と付き合うことを何が何でも選んで欲しいわけじゃなかったから。ただ彼女の傍に、彼女に一番近い存在として在りたかった。それだけ。彼女は恋人じゃなくても話してくれる、遊びに行ってくれる、接触しても許してくれる。だから不満や一夜の過ちなども特に無く今までやってきた、のだが。


「感情の爆発が起こったんですかねぇ〜……」


　感情が爆発すると人間おかしくなるものだ。怒りが煮詰まると暴行を加えたり、悲しみを溜め込むと自傷行為に走ったり、喜びが最高潮に達すると大声を張り上げてしまったり。なんだろう、何がきっかけで好きって感情が爆発したんだろう。私のスイッチがよく分からん、自分自身で分からないならもう誰にも分からん。閉廷です。

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