64夢＊夢に向かって ページ24
私が北海道に行ったあとは、たくはキャンプ、私は春から始まる一人暮らしの準備で、連絡は取れるけど会えない日々が続いた。
気がつけば3月で、たくはオープン戦が始まった。
オープン戦もなかなかタイトなスケジュールだったから、会えなかったけど、何回か近くで試合があったから、見に行くことが出来た。
そんなこんなで迎えた大学の卒業式。
朝からたくが電話をくれた。
卓「おはよ。」
A「たく、おはよ。
電話なんて珍しいね。」
卓「今日はAの卒業式やけんね。
会いに行けんから、電話ぐらいと思って。」
A「全然良かったのに…ありがとう。」
卓「もう着付けはして貰ったと？」
A「うん！あとは卒業式に出て、着替えて
謝恩会に出るだけ。」
卓「そっか。いっぱい写真撮って送ってて。
袴姿、見てみたいから。」
A「そんなに大したことないよ(笑)」
卓「いいの。俺が見たいから。
じゃあ…そろそろ球場向かうわ。」
A「うん。わざわざありがとう。
試合、頑張ってきてね。」
卓「Aも。楽しんでくるんよ。」
そう言ってお互い電話を切った。
卒業式はみんな可愛くて、卒業証書を貰って、改めて春から保育士になるんだと実感した。
みんなとたくさん写真を撮って、謝恩会でたくさん泣いて…家に帰ったのは夜。
すると、家のインターホンが鳴った。
A「はい？」
「宅配便でーす！」
何も頼んだ覚えはないけど宅配便が。
親からの贈り物かな？
そんなことを考えながら受け取ると、そこには見覚えのある大好きな字。
A「たく…？」
大きな箱を開けると、そこには"卒業おめでとう！"と書かれたメッセージのついた可愛い花束が。
A「可愛い…！」
私は急いでたくに電話した。
卓「もしもし？」
A「たく…！
私の家に花束…届いたよ。
ありがとう、すっごく嬉しい。」
卓「本当は直接渡したかったんやけど…試合あるし、ごめん。」
A「覚えててくれただけで十分。
本当にありがとう！」
卓「改めて、卒業おめでとう。
小さい頃からの夢を叶えたAは、本当に俺の自慢の彼女。
春からも、Aらしく、頑張るんよ。」
A「うん！頑張るね！」
卓「うん。また会えそうな時言うけん。
それまで我慢しててな。」
A「うん。ありがとう。」
卓「じゃあ、おやすみ。」
A「うん、おやすみ。」
離れていても、伝わる優しさに胸が暖かくなった。
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作者名：あかねん | 作成日時：2018年9月22日 1時
