* ページ20
・
楽しそうに笑っているAに俺の口角も上がる、目の前の光景に目を細めて微笑む。
「…あの子、そらるさんが育ててんですか?」
『あぁ、そうだよ。志麻くんはあの二人とも?』
「俺の親戚は茜羅やけど、浦さんの親戚の優と一緒に育てとる」
「へぇ…茜羅くんと優くんって言うんですね」
『…なんで育てることにになったの?』
俺が聞くとうらたくんと志麻くんの微笑みが消えた、少しだけ目が曇っている。
聞いてはいけない事だったと後悔し、口を開いた時、うらたくんが俺より先に口を開いた。
「二人は…、孤児院出身だ」
『…』
「ぇ、親戚じゃないんですか…?」
「あぁ、親戚、で、孤児院出身なんだ」
ゆっくりと話し出したうらたくんに、まふは目を見開いている。俺も声をかけることが出来なかった。
「…優は親に虐待されていた、それを言った茜羅の親は不運にも交通事故に、優の親は逃げていった。どちら共…もう二人には親は居ないようなものだ」
眉間にしわを寄せてそう小さく話し出した、俺は何も言えない。
まふの瞳はゆらゆらと揺らめいて涙を零しはしないが目には膜が張っていた。
「今こうして、笑ってくれてるのが本当に奇跡なんや。茜羅も、優も…だから、俺とうらさんは精一杯幸せだって思えるように過ごすんよ」
くしゃりと顔を歪ませた後、志麻くんは辛そうな顔を消すように、少年のように元気な笑顔でそう言って笑った。
うらたくんはその言葉に微かに微笑んで頷いた。
『……そっか、二人は凄いなぁ』
我ながら変なことを言ってる自覚はあるが自然とその言葉が出た。
だって、二人は凄い。俺にはそんな言葉を堂々と人に言えるほど自分の力に自信が無い。
「…まーしぃってば、なーにかっこつけちゃってんの?前まで「俺って育てる資格あんのかなぁ…」なーんて言っちゃってたのにw」
「ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゙!!」
うらたくんの一言を聞いたからか急に叫び出した志麻くんは勢いよくしゃがみ込んだ、よく見てみると耳が真っ赤になっていて照れてる、それに恥ずかしいんだと察する。
「もー…カッコよく言えたと思ったのにぃ!」
『ふ、ふふっ…ふw』
「あー!!?そらるさん笑いやがった!!!」
「かっこつけるからだ、ばーかばーか」
「見たくなかったそんな姿www」
「オーマイガー!!!」
先程の暗い空気とは一転して俺達は笑いあった。二人が気を利かせてくれたのも全部分かってる、だからこそ、何も言わない。ただ笑いあった。
486人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜桜(プロフ) - 犬坂さん» わぁぁ!!犬坂ぁぁ!ボードでお話あんましてなかったから久しぶりー!!コメント嬉しい!!!覚えてるに決まってるよ!!!おしゃべりめちゃ楽しかったもん!!!リクエストマジありがとう!!もちのろんで書かせて頂くぜ!!!! (2019年6月30日 19時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
犬坂(プロフ) - まふくん可愛いwあ、お久しぶり!犬坂だお、覚えているかい?あと。リクエストで、『夢主ちゃん迷子になってほすぃー』 (2019年6月30日 19時) (レス) id: 6b5e6236e0 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - そると。さん» 私も素晴らしいリクエスト頂けて嬉しいです!!!そると。さんに感謝しかないです!!コメントありがとうございます!! (2019年6月28日 22時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
そると。(プロフ) - こんなに早く書いていただけて嬉しいですー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年6月28日 22時) (レス) id: 86f42cc0f3 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - まろまろさん» ぁ、まだ数話続きます!!ありがとうなんて、私の方こそリクエスト有難いので、マジ感謝なんですよ!!!本当にありがとうございます!! (2019年6月21日 20時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夜桜 | 作成日時:2019年3月3日 17時