子供生活前日 ページ2
ある日両親が急に家に来て、葬式に行くと言った。
とりあえず棚から引っ張り出したスーツを着て2人について行く。
俺の遠い遠い親戚だそうだ……知らなかった、いや、知らないのが普通だろう
母さんは昔からその人たちと仲は良かったらしい、だけどその夫婦が事故で亡くなったそうだ…
父さんが車を運転した後、母さんは静かにトイレにいった。
出てきた時の目は少し赤くて、でも、それを必死で化粧で隠そうとしているみたいに見えた
『母さん…大丈夫?』
「……平気よ、平気だから、あんたも、きっちりあの子達、見届けるわよ」
途切れ途切れの言葉は重くて、辛そうで俺は母さんの顔を見れなかった。
小さい頃から母さんが人前で泣いたところは見たことがない。いや、我慢していただけなのかもしれない。
母さんのお父さん……祖父が亡くなった時、母さんは初めて俺の前で泣いた。
いつも優しい笑顔だった母さんが泣いて父さんに抱きついていた。
俺はどうしたらいいのか分からなくて、でもじいちゃんが死んだのが悲しくて、ただただ母さんと一緒に泣いていたのを覚えている。
だから今はせめて…
『…母さん、今度は俺も居るから』
俺もそばに居て支えられるから、泣いてもいいよ。…我慢しなくてもいいよ
「……あの子大事な子だったの、昔から妹みたいでね、すごくいい子なのっ」
『…うん』
「すごくいい子なのになんで、なんでこんな辛いことになっちゃうんだろうね…ホントに、神様は意地悪よ…」
そう言った母さんは初めて俺の腕で泣いていた。
「彼方、ありがと…」
『…どういたしまして』
「知らない間にこんなに成長したのね、うちの子は」
そう言った母さんは優しく微笑んで俺から離れた。
−−−
葬式は無事に済み。あとは皆でご飯を食べるそう。俺は椅子に座って花を見つめていた。
『…母さん手伝うか』
立ち上がってキッチンの方に歩くと話し声が聞こえた。
話の内容に俺は思わず立ち止まる。
「ねぇ、聞いた?あの子達子供いたのよ」
「知ってるわ、でもなんで知らせてないのかしら!」
「誰があの子育てるのよ」
「私は無理よ、だって息子が受験ですもの!」
「なんですって!?あたしのとこも無理よ!」
「……どうすんだよ」
「……ここは施設に預けるしかないんじゃない?」
「え、他に何も手はないの?」
「ないでしょ!それともそちらが育ててくれるの?」
「む、無理だ」
「…そうするしかないか」
『……はぁ』
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いろは - 名前いろはに設定してるんです、めっちゃまぎわらしい、、。 いつもだけど。 (2021年6月28日 17時) (レス) id: 7123c4f9b6 (このIDを非表示/違反報告)
いちご大福(プロフ) - 次回予告が不穏…けどめちゃ面白い……っ! (2020年12月12日 16時) (レス) id: 52451fab77 (このIDを非表示/違反報告)
松たけこ(夜桜)(プロフ) - Machika@まっくるさん» それなとしか言えませんね。読み返してみると、矛盾多くね?ってなります…(真顔)(白目) (2020年1月4日 9時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
Machika@まっくる - なんか夢主ちゃん不幸なのか幸せなのか分かんないですね……(真顔) (2020年1月3日 20時) (レス) id: e907e9a35f (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - ハクちゃんさん» コメントありがとうございます、面白いなんて、ありがとうございます!!最っ高の褒め言葉です!!私ももっともっと上手に書けるように頑張ります!! (2019年7月1日 22時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜桜 | 作成日時:2019年1月6日 21時