花嫁修業45日目 ページ8
__Aside
覚悟を決めると言ってもほとんどはもう決めていた、希望も少しだけある、でも確実ではない。最後になるかもしれない、と思ったら胸が痛くなった
まふまふ様が眠っている寝室の襖を開ける、そこには天月様が手を握って目を閉じていた。
「っ……A…」
『何を、しているんですか…?』
「…少しだけでも、正気に戻るように生気を送ってる。僕にできるのは、これくらいだから…」
そう言った天月様は悔しそうで、天月様の行動から意味を読み取ってしまった私は黙ってその様子を見ることしか出来なかった。
『……話、聞いてたんですね』
「…死んじゃダメだよ、A」
『…それは、約束できません…』
「…うん、分かってるよ。でも、守らなきゃ、殺すからね」
矛盾している、死んだら殺すことも出来ない、なんて言えるはずがなかった。
それほど天月様の表情が苦しそうだったから…
でも、約束も出来ないことを知っている。口を開くことは出来なかった。
『…』
「…僕、luzくんに会ってくるから。その間まふくんのこと、頼んでいい?」
『…お任せ下さい』
私がそう言うと安心した表情で弱々しく微笑んだ。多分私のことを気遣って1人、いや二人にしてくれたのだろう。二人になった部屋はいつもより寂しくて、そして冷たかった。
『ねぇ、まふまふ様。聞こえてますか?』
「……」
『私、貴方を助ける代償に死ぬかもしれないんです。知ってますか…?』
皮肉のつもりでそう言ってみるが聞こえてないのに届くはずがない、乾いた笑いが口から零れる。
『ははっ…全て貴方のせいです。』
「…」
『私に優しくするから、こんな呪いにかかるんですよ?…私、呪い子なんですから』
「……」
『……私に、希望を与えるから、』
『私に、幸せを、喜びを教えたから……っ』
「……」
『欲が溢れて……我儘になってしまったんです。』
「…。」
『生きたいと、まだ貴方と共に居たいと……貴方にこの思いを伝えたいと…願って…っ』
こんなこと言っても、目を覚まさないのに、それでも、諦めることが出来ない。
貴方が好きだから、好きになってしまったから……諦められなくなった。
『……貴方のせいです。まふまふ様』
私は立ち上がった。
・
・
・
「…ゃ」
『っ…まふまふ様?』
服の袖を強く握るまふまふ様は、行かせないとでも言うように私を睨んだ。見つめ返す。
「A…!」
『……さようなら、まふまふ様』
517人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年5月19日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あや - 始めまして!この小説すごい好きです! まふまふさん推しなので得に! 受験お疲れ様です 更新頑張ってください! (2020年4月3日 0時) (レス) id: a7aad2115f (このIDを非表示/違反報告)
胡桃きら - 推しを愛で隊(夜桜)さん» お返事ありがとうございます。受験だったのですね、お疲れ様です!そしてほんとにすみません、、何回も読み返していてこれまで占ツクで読んだの中でトップ3の中に入るぐらいだいすきな作品です!これからも応援しています、作者様のペースで更新頑張られてください。 (2020年3月29日 21時) (レス) id: 5346f0bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - 胡桃きらさん» 初めまして、そんな有難い言葉を頂いて本当に嬉しい限りです…!!受験も終わりましたので、更新を少しずつ再開しようと思っています。我儘なんかじゃありません!!わざわざコメントして頂けるなんて驚きましたが…w更新は再開します。絶対なのでご安心して下さい!! (2020年3月7日 14時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - あいろさん» あ、ありがとうございます!!! (2020年3月7日 13時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夜桜 | 作成日時:2019年4月9日 0時