第3章 - 4話 ページ36
迷わずに、常人の域を超えた速度で駆ける。
他の受験者と随分差がついた頃、立ち止まり、追随してきた人影に話しかける。
「あの、何か用でしょうか。」
「ほほう、ばれておったか。」
気配を消していた老人が絶を解除する。老人が手元のライトをつけた。
「お主、光がなくとも視えているのだな？」
「いや、円で地形を把握しているだけで、視覚はそれほど優れていないですよ…それより、あなた、どこかで？」
極めて純粋で力のあるオーラを纏う、見覚えのある人物を前に首をかしげる。
年齢不相応なキャップを被った白髭の老人。福耳には左右２つづつピアスをつけている。
(あ…)
「まさか、ネテロ会長…？」
「あたりじゃ。」
「…お会いできて光栄です。ところで、何かご用でも？」
「うむ。実はお主に用があるわけではないんだが、この先に厄介なヤツが居ってのう。会長直々、処分しに来たのじゃ。
まあ、ワシ、暇じゃし。」
ネテロ会長は立派な白髭を弄りながらそう言った。
私は心当たりがあったので口に出す。
「それってもしかしたら、気配が消えたり現れたり、分散したり収縮したりするヘンなヤツですか？ここから、もう少し、300mほど離れたところにいる…」
「うむ、きっとそれじゃろうな。しかしお主、一体どれほどまで円を広げられるのじゃ？」
「ざっと1.5kmくらいですね。」
「ほう。師は？」
「し？」
「念を誰に教わった？」
「いえ、独学なんです。」
「ほっほ！面白いヤツじゃのう。」
ネテロは声を上げて笑い、ニヤリと悪戯っぽい顔をした。
「お主、“カゲ”を倒してみんか？」
「“カゲ”、ですか？」
唐突な提案に面食らう。
「ああ、この先の、お前が言う“変なヤツ”のことだ。倒せばハンターの資格をやろう。それに、星付きの。」
「え、そんな、どうして？」
「簡単に言うとな、カゲは暗黒大陸の生き者なんじゃ。しかもテリトリーに入った人間や人工物を一瞬で屑にしてしまう。
どういうわけか、世界大戦時に一度カキン帝国に現れ、アイジンエン大陸東北部をめちゃくちゃにしたのちに突如として消えた。災害級に危険な生き物というわけじゃ。
倒せばシングルハンターになる功績としては充分すぎるわい。」
「なるほど、恐いなあ。それって勝算あるんですか。」
「…ワシには、ないな！」
「ないんかい。」
本心かどうかは分からないが、会長が勝算ないと言っている相手に果たして私が敵うだろうか。いや、無理だろう。
思わず溜息をつく。
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零落*・reira(プロフ) - カルタさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても励みになります…！ (2020年2月16日 15時) (
レス) id: 5e63a1d1e7 (このIDを非表示/違反報告)
カルタ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！合格おめでとうございます！更新楽しみにしています！ (2020年2月16日 14時) (レス) id: 132cc7b19e (このIDを非表示/違反報告)
白餡(プロフ) - パパっと読んでみましたが、描写も結構きっちりとしていて面白かったです。更新頑張ってください (2019年2月16日 23時) (レス) id: 81568ffd32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零落 | 作成日時：2019年2月14日 23時
