第1章 - 11話 ページ11
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私はそのまま続ける。
「今思い返してみると、ずっと彼女に守られっぱなしだったな。家事なんて全部任せっきりだったし、お金のやりくりも彼女がいたからできたことだ。
…さっきも言ったけど、私は人生を２つ掛け持ちしていてね、それ故に片方がないがしろになったりしていたんだ。
そうだなあ。そう思うと、私は30年近く生きたくせに、ひとりじゃ何もできてないや。」
自分の無力さを改めて実感する。
同時に、どれほどラティに支えられていたか、も。
「そういえば、彼女は最初に出会った時から姿が変わっていなくて、しかも私と同じ時間を認識していたんだよ。
なんでって聞いてもいつもはぐらかされていたな。
…ああ、そうか、わかった。
そうだ、もしかしたら彼女は、私の中で生きているのかもしれない。あいつに殺された時に、笑っていたかもしれない。
やっと我が子が自立する、って気持ちだったかもしれないな。」
クラピカは私を見上げる。
よくわからない、といった表情をしているが静かに、真剣に聞いてくれている。
私は、ここがハンターハンターの世界だと分かって、全てに納得してしまったのだ。
この世界だったら、あちらの世界であり得ないこともあり得なくない。
仮に私が念能力を使えるとして、ラティが私の念と何か関係があるなら、全てに説明がつくのだ。
「だからね、クラピカ。
私は君との出会いに感謝している。きっとラティだってそうだと思う。
ラティは死んでないよ。私の中で生きている。
だから、自分を責めないで欲しい。
責めたりなんかしたら、ラティに失礼なんだからね。」
私はクラピカの目を見てそう言った。
クラピカは前に向き直り、ゆっくりと話し出す。
「…うん。正直よくわからないこともあるけど、あの人は生きていて、Aもあの人もしあわせだってことは何となく分かった。
オレも自分を責めないことにするよ。恩人に失礼なことはしたくないからな。」
「うん。ありがとう、クラピカ。」
私は、上を見上げた。
満天の星が私たちを見守ってくれているような気がした。
この明るい夜は、今日の私たちに案外お似合いだったのかもしれない。
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第1章 「始まり」 終
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零落*・reira(プロフ) - カルタさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても励みになります…！ (2020年2月16日 15時) (
レス) id: 5e63a1d1e7 (このIDを非表示/違反報告)
カルタ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！合格おめでとうございます！更新楽しみにしています！ (2020年2月16日 14時) (レス) id: 132cc7b19e (このIDを非表示/違反報告)
白餡(プロフ) - パパっと読んでみましたが、描写も結構きっちりとしていて面白かったです。更新頑張ってください (2019年2月16日 23時) (レス) id: 81568ffd32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零落 | 作成日時：2019年2月14日 23時
