第1章「始まり」 - 1話 ページ1
最高学年、つまり受験生となって早3ヶ月。
今はもう6月。
中間考査も終わり、学園全体で夏休み前にある”涼祭“、言わば小規模な文化祭のようなものに向けて準備を進めていた。涼祭は学園生にとって最も楽しみな行事である。
…もっとも、受験生である我々にとってはもう関係のないことではあるが。
「おはよ、A。あれ、もしかして今日、調子悪い？」
ぼうっと学校の廊下を歩いていた私に、中等部からの友達である由美が尋ねる。
鋭い。さすが由美である。
私は今日、久々に体調が悪い。
「そうなんだよ…。すごく、フラフラするの。よくわかったね。」
「だって、顔色ヤバイもん。誰でも分かるって。鏡見た？」
「見たけど…。」
「見たんかい。やっぱ本人はわかんないものなのかなあ。ま、とりあえず保健室行ったら？」
「うーん…。いいよ、もうちょっと頑張ってみる。」
「そっか、無理はしないようにね。」
「ありがとう。」
「いーえ。」
由美はひらひらと手を振って私と逆方向へ歩いて行った。
そんなに顔に出てるのかな。気をつけなきゃ。
4限目、英語の時間。
3限目で解いた英語のセンターの過去問を採点していた。3限目からどんどん体調が悪化していたが、半分くらい採点し終わった頃、
あ、これ無理だ
と悟った。体が重い。意識が朦朧とする。
今日は7限まであるが、この状態で授業に出ても意味がない気がする。4限目が終わったら早退しよう、そう決めて自己採点を続ける。
4限目が終わるまで約40分、自己採点が終わった。点数は156点だった。
喜べない。全くもって頭が痛い。
本当に調子が悪いのは体だろうか。
終業のチャイムが鳴る。
皆が立ち上がり、食堂へ向かうが私は逆を歩いた。保健室へ向かうためだ。
足元がおぼつかない。どうしてこんなに調子が悪いのか見当もつかない。
こんな日はとっとと夢に潜りたいものだ。
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零落*・reira(プロフ) - カルタさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても励みになります…！ (2020年2月16日 15時) (
レス) id: 5e63a1d1e7 (このIDを非表示/違反報告)
カルタ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！合格おめでとうございます！更新楽しみにしています！ (2020年2月16日 14時) (レス) id: 132cc7b19e (このIDを非表示/違反報告)
白餡(プロフ) - パパっと読んでみましたが、描写も結構きっちりとしていて面白かったです。更新頑張ってください (2019年2月16日 23時) (レス) id: 81568ffd32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零落 | 作成日時：2019年2月14日 23時
