冷えた眼 (ページ3)

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教室

日誌や配布物を受け取って教室に着くと、昨日の男の子がもう座っていた。

朝早く来るならいけばいいのに。そう思ったけど陰キャにそんなこと言えるわけなくて、配布物を机一つ一つに置いていく。

朝ギリギリにきて、プリントを先頭に置いても配ってくれないだろうから。なんでこんな頑張ってんだろ。

昨日の男の子は机に突っ伏して寝ている。

困った。

プリント置けないじゃん。

『あのぉ…、』

と小声で声をかける。

んんっ、と唸ってからゆっくり顔が上がった。何回か瞬きをしてこちらを見る。

「…なに。」

いや、こちらのセリフなのですがと言いそうなところを押し殺して

『プリント、机に置きたくてあの、えっと、これを、』

大ちゃん以外と話すことなんてめったになくて、ぎこちなくそういうと

「ん。」

そう言って持っていたプリントをさっと奪って雑に机にしまい、また寝てしまった。

感じ悪っ！！！

その後も黙々と作業して、日誌を書いていれば賑やかになる教室。

「数学小テストとかだりぃー！」

「いや、現社の話聞く方がだりーじゃん寝てたらキレるしさ。」

「ねー！ビューラー忘れたあ。」

「え、なにそれかわいいじゃん、」

学校は、勉強するところだし、メイク道具なんていらないだろって心の中で思いながら日誌を書き進める。

流石に、名前は、彼の名前にしないとダメだよなって日誌のところの氏名を空白に止まる。

待って。

名前知らないや。

話しかける？

「ねぇー、蓮くん、今日暇ー？」

無理だ。あんな女の子に囲まれて、

「蓮、俺と今日サッカーの約束してるっつーの！」

チャラい男の子が周りにいるのに。

ああ、せめて、大ちゃんと同じ歳だったら話す人いたのに。

凝視しすぎてたのか、え、何？見られてんだけどって女の子たちに目つけられちゃった。

さっと前を向いて、早く授業始まれと願う。

大ちゃん、撤回する。

学校はね、私にとってアウェー試合の味方ゼロ状態だよ。