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球技大会の時間 ページ14

梅雨が明け本格的な暑さが増す今日この頃
球技大会の季節が迫ってきていた


「アウトドアの季節ですな どっか野外で遊ばね?」


杉野くんが私たちに声をかけた


「じゃ、釣りとかどう?」


私はカルマの「釣り」という単語にピクっと反応する
渚くんと杉野くんは何が釣れるの?と魚の話をしている


「夏場はヤンキーが旬なんだ 渚くんを餌にカツアゲを釣って逆にお金巻き上げよう」


そうケラケラと楽しそうに笑うカルマ


「でもさ自分で言うのあれだけど、渚くんだけじゃなくて女の私もエサにされた方が良くない?」


「ヤンキーに旬とかあるんだ…てかAさんはもっと自分を大事にして!?」


渚くんは私の心配をしてくれる
でも、修学旅行の時みたいな奴ら以外だったら大体カルマと一緒にしたせいか慣れてしまっているので心配は無用だった



「んー…Aはダメ」



「えー??なんでさ」




すると私の方へ顔を向け真っすぐに目を見て




「もう危ない目に合わせたくないから」





なんの前触れもなくそんなことを言うのだからドキッと心臓が鳴った
杉野くんからは目の前でイチャイチャすんなよーとからかわれる



「別にそんなんじゃないから」



と必死に冷静さを保つように言い返した
体が熱いのはきっと梅雨明けに照り付ける太陽のせいだ…きっと


本校舎が近づき野球部の練習する音が聞こえる
私は運動がそこまで得意なタイプではないので普通にすごいなと見つめる



「ん? 久しぶりだな、杉野」


「…おう」



男の子が私たちの方へ近づく
杉野くんはその人に少しだけ苦い顔をしながら声を返す


すると、どんどん野球部の人達が杉野くんの所へフェンス越しに顔を出し始めた


普通に接してくれるあたり、あまり本校舎の人という感じはなかった
そして部活っていいなぁと改めて考えているとカルマと渚くんは見守るような目で杉野くんを見つめていた


「来週の球技大会投げるんだろ?」


「お?そーいや決まってないけど投げたいな」






「楽しみにしてるぜ …しかし杉野はいいよな」



その言葉と同時にあの本校舎特有の眼差しに変わる
あっ…やっぱりこの人たちは根っからの差別者なのか



「E組だから毎日遊んでいられるんだろ?俺ら勉強も部活もやんなきゃだからヘトヘトでさ」


杉野くんの表情が一気にくもる


「よせ、傷つくだろ 進学校での部活との両立 選ばれた人間じゃないならしなくていい事なんだ」

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作者名:みづき | 作成日時:2020年3月12日 17時

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