優しさの時間 ページ1
女子の部屋へ逃げ込もうと部屋の扉を開けようとした時、中でビッチ先生の武勇伝が聞こえてきた
正直この雰囲気の中入っていくのは無謀すぎる
あーあ…もう少し早く部屋へ行っていればなぁと後悔してももう遅かった
仕方がないので少し奥の薄暗い場所に移動した
ふと先程盗み聞きしてしまった男子の会話を思い出した
…カルマだって男の子だ気になる人ぐらいいるはず
でもどうして不安になるのか
欠けた月が私を慰めるように視界へ飛び込んた気がした
綺麗だな…欠けていても
「なに物思いにふけてんの」
思いもよらぬ人物の声が私の後ろから聞こえドキリと心臓が鳴いた
声の主は私の今は…あまり会いたくない人
そーっと振り返る
「カルマ…」
そう発した瞬間
部屋の方から男女の叫び声とドドドドと走る音がしてきた
微笑ましそうに見つめる
少しだけ春の夜の冷たい風が私の頬を撫でた
私は寒くなり体を縮こませると
「湯冷めするよ?ほらこれ掛けときな」
そう言って私の肩に自分の浴衣の羽織を掛けた
カルマの優しさが心にも身体にも染み込んでいく
私はこの優しさに弱い
だけどあんな話を聞いといてどんな顔になればいいのかわからなかった
するとストンとカルマが私の隣に座った
「今日の、まだ怖い?」
真っ直ぐに私の目を見つめるカルマに私は視線を逸らせなかった
「なん…で??」
カルマはその言葉にニヤリと笑う
「顔が歪んでて…ちょっとブサイクだったから」
えっ…ブサイクだった…!?!?
「ブ…ブサイク!?!」
戸惑いながら私は自分の顔を触った
そんなに顔歪んでたのかな??
大焦りする私を横にカルマは満足に笑っている
「なに満足に笑っての…」
そう聞くとカルマはいつもの様に私を見た
「顔触っても意味ないのにずっと触ってたから あといつものコロッコロ表情が変わるAに戻ったなって」
あー…なるほど
方法はアレとして私を励ましてくれたのか
それだけで少し嬉しくなった
なんだかさっきまで悩んでいたのが馬鹿らしく思えてきた
「明日…最終日かぁ 色んなことあったけど楽しかったね」
「そうだね、俺も割と楽しめた」
何事も始まりがあれば終わりがある
当たり前だけどこの修学旅行もE組も
地球も
だから悔いの残らないように行動したいなって思えた
2人で眺めた月はなんだか一人で見るよりも綺麗に見えた気がした
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作者名:みづき | 作成日時:2020年3月12日 17時