１０２ 僕はただ ページ12
No side
「これは美しい！野坂悠馬、まるで全ての選手がどう動くか分かっているかの様に交わしていく！」
Aの視線の先、フィールドでボールを操る野坂は、久しぶりの感覚に胸踊らせていた。
…ああ、なんて気持ちが良いんだろう。
体が軽い、胸が高鳴る。
スタジアムさえも消し飛ばす様な大喝采の中、ただ喜びのみが身体に染み渡って行く。
…今の自分は、心のままにサッカーが出来ている。
その事実だけで、野坂は感無量だった。
そしてまたAも、そんな野坂を見て優しく微笑む。
ボールと共にフィールドを駆けていく野坂の中にある思いはただひとつ。
皇帝じゃなくてもいい。
僕はただ、サッカーがやっていたい＿
・
・
ちょうど、韓国戦が終わった頃。
アメリカで無事に脳腫瘍の手術を終えた野坂は、日本代表に戻る為と多くのリハビリメニューをこなしていた。
そんな日々の中、無理に無理を重ねていく野坂に、彼の担当医は忠告をする。
「確かに手術は成功しました。ですが、君の様な無理なリハビリを続けていけば、体は壊れてしまいます」
…そんな事は分かっていた。
けれど、逸早く代表に戻りたい。
逢いたい人も、そこにいる。
これが、野坂の本音であった。
「でも、僕には時間がないんです！」
「気持ちは解りますが……。君は頭の手術をしたんです。そう簡単には以前の様に動ける様になりませんよ。それは、君自身が誰よりも分かっている筈でしょう」
「……。」
思わず顔を伏せる。
本当に、その通りであった。
医師は、野坂のベッドの横のデスクに置かれたサッカーボールと日本代表のユニフォームを一瞥し、再び口を開く。
「君は、運動能力が低下していて以前の横に動き回る事は出来ない。日本代表の選手に選ばれていると聞きましたが、今回のシーズンは諦めるべきです。」
″諦めるべきです″
…そうかもしれない。
そう、思ってしまった。
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通りすがりのジンギスカン(プロフ) - ありがとうございます!更新楽しみにしています! (2023年1月3日 0時) (
レス) id: 8ec3ac3ee0 (このIDを非表示/違反報告)
花鈴萌(プロフ) - 通りすがりのジンギスカンさん» はじめまして！コメントありがとうございます。楽しく読んで下さっていると聞き、とても嬉しいです。パスワード送らせていただきますね！これからもよろしくお願い致します。 (2023年1月2日 22時) (レス) id: 40828a89fc (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりのジンギスカン(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく読んでます!続きが気になるので、良ければパスワードを教えて頂けませんか? (2023年1月2日 0時) (レス) id: 8ec3ac3ee0 (このIDを非表示/違反報告)
加茂&夏油の嫁(プロフ) - 花鈴萌さん» こちらこそです！更新楽しみにしています！ (2022年12月31日 5時) (レス) id: ef07d69be6 (このIDを非表示/違反報告)
花鈴萌(プロフ) - 加茂&夏油の嫁さん» はじめまして、ご指摘ありがとうございます。すみません単なるミスです。なぜ今まで気づかなかったのか……！ただ今修正しました。面白いと言って頂けて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願い致します！ (2022年12月31日 5時) (レス) @page20 id: 40828a89fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花鈴萌 | 作成日時：2020年9月19日 10時
