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「──ありがとうございました」
オペを終わらせて、手術室の外で待っていた秋本さんの奥さんに、耕作と2人で無事を報告し行った。
私は報告だけ終わらせて立ち去ろうとした時──耕作が口を開いた。
「…──ご主人が本当に生きたがっていたかどうかは…私達には分かりません。ですが少なくとも…体は生きたがっていた」
「…」
「管損傷も腸管損傷も、同じ怪我で命を落とす人も少なくありません。ですが…秋本さんは生きた。…ダメージコントロールは、患者さんの生命力に問いかける行為です。…秋本さんの体は、『生きたい』と応えてくれた。体が応えてくれるまで、私達は24時間待った。…でも、心が応えてくれるまでには、きっと…もっと時間がかかると思います」
耕作の言葉に、秋本さんの奥さんは
僅かに微笑みながら涙を流した。
…あるものに人生を捧げて、それを失って
これからの長い人生に、彩りが無くなったとしても
本当に生きたいと思えるのか、生きれるのかなんて
本人以外、誰にも分からない。
だけど──生きて欲しい。
私たちは、患者に生きて欲しいと願う。
体がそれに応えてくれるなら、私たちも、応えたい。
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萌娜(プロフ) - 杏さん» ありがとうございます(*^^*)とても嬉しいお言葉であります(><) (2017年10月29日 18時) (レス) id: 3c9022af09 (このIDを非表示/違反報告)
杏 - 最近こちらに巡りあいまして楽しく読ませて頂いてます!更新楽しみにしてますね! (2017年10月28日 11時) (レス) id: ce7544d8fb (このIDを非表示/違反報告)
萌娜(プロフ) - あやさん» ありがとうございます(><)感激です(><)これからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年10月28日 10時) (レス) id: 3c9022af09 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 面白いです!頑張って下さい! (2017年10月27日 17時) (レス) id: bf70448eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:萌娜 | 作成日時:2017年10月23日 15時