甘々な避難場所。２【短編集】

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｢それでぇ、その子の彼氏が浮気してて、その後の対応もひどいんですよぉ｣



｢それは災難だったねぇ、お友達さん｣



緊急事態。

彼女は完全に酔っている。


そしてAちゃんは 本当に彼氏もいたことがないのか、出てくるのは自分の愚痴より友達の愚痴。


ちなみに酔わなかったら奥の手も用意していたのだが、それも必要ないくらいに酔ってくれている。



｢Aちゃんってさ、彼氏いなかったの？｣


｢彼氏、逆にいたと思いますかぁ、いるわけないじゃないですか｣



予想通りといえば予想通りなのだが、実際に言われると 胸が高鳴る。



｢へぇ、意外かも。Aちゃん可愛いから いると思ったけどな｣


｢だから、そういうのは好きな子じゃないと……ひっく｣




酔っていようが、可愛いと言われて赤面するにはまだ遠かった。



……そろそろ潮時かな。



｢ねぇ、もう遅いし 僕のおうちで映画でも観ない？｣



｢あー、どうしようかな……｣



酔いによって顔を赤くしたAちゃんは、少し考えるような仕草をする。


長引けば長引くほど酔いが覚めてきちゃうから、できるだけ長引かせたくないんだけど 迷ってくれているなら拒否されるよりマシだ。



｢うちで飲み直そうよ、まだ飲み足りないでしょ？あとシャワーも浴びたくない？最近結構あったかい日あるからね｣



彼女がちょっとでも魅力を感じられるように、次から次へと甘い言葉をかけていく。


すると、Aちゃんは見立て通り押しに弱いのか


｢じゃあ行きます｣



とオーケーをくれた。



この子が馬鹿だからいけないんだ。


だからこんなに馬鹿な男に襲われてしまう。


たぶん経験がないAちゃんは 酔っているし判断力もないんだろうな。




……そう自分に言い聞かせて、『お持ち帰り』の準備をはじめた。

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