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「どんなって……るぅとくんを近くで見たかったのと、いつもるぅとくんがどんな景色を見てるのかなって」
恥ずかしさを噛んで堪え、事実を伝える。
彼の反応は、意外にも少し驚いていた。
「なんだ、かまってほしかったのかと思った」
「私そんなに飢えてないよ!」
彼は毎日のように愛をくれるので、そこまで飢えてはいない。
るぅとくんは私が『かまってほしい』というのを否定したのがお気に召さなかったのか、「そう」と言葉少なに返答した。
「……あ、ってことで、お邪魔しました」
これ以上この体制はマズいと 無理やり笑みを作り、掴まれている腕をほどこうとする。
が、彼は離そうとしてくれない。
「あの、勝手に乗っちゃったことは悪いって思っているので……」
「そうじゃないの。ちゅーして」
前後の内容に一貫性がない。
それは一旦置いておき、彼がキスを求めるのは お詫びのしるしということだろうか。
彼からしてみたら、上に乗られるというのは気分を害するようなものだったかもしれない。
ならば今後の関係を円滑に進めていくためにも、少しならしてあげようじゃないか。
「____えー、ほっぺ?」
「口はダメ」
お望み通り、キスしてあげた。ほっぺに。
彼は不機嫌だが私のキスはそんなに安くない____というより単純に恥ずかしいから。
「ん、じゃあねぇ」
彼は一瞬思考し、私の腕を抑えている手と反対側の手を動かした。
何事かと振り返ろうとするにも時すでに遅し。強い力で後頭部を抑えられ、完全に彼の上に倒れ込んだ。
「あったかい掛け布団だ」
「……ブランケット持ってくるから、降りていい?」
「だめ、Aもあったかくなろ」
いやなにを言って、と口にしようとすると、いきなり 先程まで腕を掴んでいた手で顔をあげさせられる。
そのまま何もできず、気がついたら 唇を奪われていた。
有無をも言わさず、ただ唇が触れる。
先ほどまで彼にあった、不平不満や喜び、欲望などといった感情は 愛によって散った。
許可もなくキスをされるのも嫌いではないかもしれない、と私に感じさせるくらい、甘くて。
「……いきなり、しないでよ」
「喜んでるくせに。恥ずかしいの?」
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虹の根元付近に生息しているアイ(プロフ) - 蝉-セミ-さん» 蝉さんありがとうございます!!私の書く💛さんの良さを分かっていただけて嬉しい限りです😭これからも喜んでいただけるよう更新頑張ります!笑 (2022年10月15日 12時) (レス) id: 98cb88ece4 (このIDを非表示/違反報告)
蝉-セミ-(プロフ) - 久しぶりに占ツクにきたら短編集更新されてて嬉しかったです。やはりアイさんの書くちょっと大人っぽくて意地悪な💛くんが好きですw🤣 (2022年10月15日 1時) (レス) @page35 id: 19d8717651 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根元付近に生息しているアイ(プロフ) - わっふるのとっぴんぐさん» 返信遅くなり大変申し訳ありません!そう言っていただけて本当に嬉しいです、モチベーションになります…😭 ありがとうございます! (2022年10月12日 20時) (レス) id: 98cb88ece4 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根元付近に生息しているアイ(プロフ) - みぃなさん» 返信遅くなり大変申し訳ありません!私は後遺症もなく元気です☺️ ご心配ありがとうございます( ; ; ) (2022年10月12日 20時) (レス) id: 98cb88ece4 (このIDを非表示/違反報告)
わっふるのとっぴんぐ(プロフ) - コロナ大丈夫でしたか!?!?もうこの短編集最高すぎて…!!主さんのペースで更新がんばってください!(*´`) (2022年8月10日 17時) (レス) id: b8d201f8af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ x他1人 | 作成日時:2022年3月29日 22時