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＿＿ここは？
Aはゆっくりと体を起こした。まだ頭がはっきりしていないようで夢見心地な表情だ。辺りにはAが眠っていた寝台の他に医療器具が幾つか置いてある。
と、Aは足元に何かを見つける。
それはすうすうと寝息をたてる芥川だった。
Aは芥川をしばし見つめると慣れた手つきで芥川の頭を優しく撫でる。
すると、
「A………？」
芥川はゆっくり頭を上げる。Aの漆黒の瞳が芥川を見詰める。
それを見た芥川の眠気は一気に吹き飛んだ。
「A！起きたのか！傷は痛むか？大丈夫か？！」
そう芥川が捲し立てると、Aは呆気にとられたが、笑みを溢す。
「な！何故嗤う！」
芥川が抗議の声を上げると笑いを噛み殺しながら
「いや、懐かしいなって思ってね。」
と云った。
昔のことを思い出したのか芥川は
「僕がお前が転けたときと似たような対応をしたということだろう？」
と云う。
敦や太宰を相手にしていた時とは違いうっすらとだが感情が見え隠れしている。
しかし、Aにとっては隠しきれてない時点で芥川が恥ずかしがっていることは明白だった。
故に
「可愛い。」
とついこぼしてしまう。それを聞いた芥川は身を固くした。
「な！！僕を可愛いなどと！僕よりも貴様の方がかわっ………！何でもない！」
と威勢よく云うが、最後は誤魔化すように付け加える。
Aはその様子を懐かしそうな目で見た後、
「ありがとう。ぼくを助けてくれて。やっぱ君は頼りになるね。」
と、花開くように咲った。
芥川は目を見開き、俯いてしまった。
その時、Aは扉を振り返る。
と、同時に扉が開き男が一人入ってきた。芥川はその男を見て
「首領……」
と呟く。
男＿＿森は一瞬芥川を見たがAに向き直り、
「怪我の具合はどうかね？」
と優しく聞いた。
Aは
「動く分には問題ないようです。治療していただき感謝します。」
と、先程までとは違い丁寧な言葉遣いで答えた。
その後暫く森とAの二人は相手の出方を探るように互いを見つめ合う。
芥川は口を挟まずにいるが、Aのそばから離れようとしない。
と、部屋の空気がガラリと変わる。
そう、森がAに向かって殺気を出したのだ。しかし、Aはその殺気を真っ向から受け止め、彼女自身も殺気を放つ。
彼女の殺気を受けた森は、
「君、ポートマフィアに入る気はないかい？」
そうAに提案した。
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作者名：玉兎 | 作成日時：2019年7月28日 10時
