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気絶したAを芥川は暫く見つめ、敦へと向き直る。
「………そこに転がるお仲間も、Aもいわば貴様の巻き添え………」
そう云いながら敦を睨む。
その瞳はお前がいなければAも怪我をしなかった__そう云っていた
「僕のせいで皆が……?Aちゃんが?」
敦は呟く。それに頷くように芥川は答える。
「それが貴様の業だ、人虎。貴様は生きているだけで周囲の人間を損なう………故にAも!」
敦の脳裏には育った孤児院の院長達が写る。
敦が衝撃を受けている間に芥川はAを樋口へと渡しポートマフィアに連れ帰るように命じる。樋口はAを見て嫌悪感を剥き出しにしたが、芥川の命令通りにポートマフィアへと連れていく。
「『羅生門』」
それを見届けた芥川は呆然と立っている敦の真横に異能力を発動させる。
敦の真横の地面が抉れる。しかし、抉れた部分は何処にいってしまったのか……
それはすぐに解決した。
「今のはわざと外した。僕の『羅生門』は悪食、凡るものを喰らう……抵抗するならば次は足だ。」
そう、芥川は地面を喰らったのだ。
敦は地面へとへたり込む。
「な、何故?どうして僕が__」
__僕のせいなのか?
僕が生きているだけで皆が不幸になるのか?
その呪縛から敦は逃れられない。
筈だった。
「時間を掛ければ増援がくるか……」
芥川がそうごちた時、敦は芥川へと走る。
これならば簡単に潰せるだろうそう芥川は考え異能を発動させる。
しかし、芥川の予想に反して敦は異能をよけ樋口が落としていった銃を拾い芥川へと乱射する。
敦の頭には息のある谷崎、先程逃げてくれたナオミ、社の看板を汚すなと云う国木田。
そして、彼女との記憶。
それらすべてが敦の背を押す。
__これで!
しかし、芥川は無傷だった。
もう銃の残弾はない。
「そんな……何故…」
敦の疑問に芥川はこたえる。
「今の動きはなかなか良かった。しかし、所詮は愚者の蛮勇。
云っただろう?僕の『羅生門』は悪食、凡るものを喰らう。仮令それが『空間そのもの』であってもだ。銃弾が飛来し、着弾するまでの空間を一部喰い削った。槍も炎も空間が途切れれば僕まで届かぬが道理。」
敦は驚愕の表情を浮かべる。
__そんなの攻撃のしようが無いじゃないか!
「そして僕、約束は守る。」
芥川の異能が敦に襲いかかり一瞬で敦の右足が切断される。
片足を失った敦は地面へと倒れ込む。
血が大量に溢れ敦は叫ぶ。
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作者名:玉兎 | 作成日時:2019年7月28日 10時