触手の痛みは知っている

アーヤの過去 ページ15

彩目線

彩｢ただ迎えにいっただけだったの。

積もる話をする約束で。

昼間に教師のお姉ちゃんが夜に手伝っているという研究所まで。

いろいろあってやたら警備が厳重で。

役者業は事務所の意向で長期休業中。

街で私に気付く人もいなくなった。

進路や成績のことを考えていたとき、突然の大爆発。

壁は吹き飛び警備の人は右往左往。

じっとしていられるわけがなかった。

小さな体は大人より早く潜り込めた。

目に入ってきた光景は、息絶えた姉と、血を弄ぶ触手の怪物、見たこともない傷口と、あの怪物が残したらしき書き置き。

その近くには、見たこともない容器の液体。触手の｢種｣だと後で知った。

何故それを持ち帰ったかは説明できない。

ただ、あの見たこともない怪物に対抗する手段はこの中にしかないと直感していた。

試作人体触手兵器、人間に後天的に移植するタイプ。強大な力を得られる反面、メンテナンスを怠れば地獄の苦痛。

...どうでもよかった。

役者になるときもそうだったんだ。

私はそうと決めれば一直線なの。

住民票を偽造し、

昔演じた単発ドラマの没役の名前...

茅野カエデを演じた。

あの書き置き通りなら、お姉ちゃんを殺して逃げた怪物は必ず椚ヶ丘の3-Eに来る。

あの怪物がお姉ちゃんの受け持ってたクラスを乗っ取る理由は分からない。

けど妹の私がすることはただ一つ。

復讐の色を悟られぬよう演じきるだけ。

ってこと。｣



彩｢あ、役者のときは、磨瀬榛名。

椚ヶ丘のときは、茅野カエデ。

今は立花彩。

本名は雪村あかり。

なんか騙してごめん...｣

長かったかな..？

翼｢アーヤ。教えてくれてありがとう！アーヤ、役者やってたんだ...磨瀬榛名...アーヤ後でサイン頂戴！！｣


彩｢うん！！｣

翼の心境→←辛いよ...

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