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〜立花仙蔵視点〜

A「じゃあ、私もう部屋に戻るから。」

仙蔵「待て、私が部屋まで送る。」

A「またまた。もう米俵ごっこは懲り懲りですよー。」


Aは冗談めかした口調で言った。私は心配しているというのに。私はそんなAに少しムッとして、何も言わずに彼女を横抱きにした。
するとAの顔はみるみるうちに紅くなった。

A「えっ、せ、待って、仙蔵!」

仙蔵「どうした、これはまともな運び方だろう?」

A「……」

Aは反論することもできず、照れ隠しのつもりなのか、私の胸に顔を埋めた。そこから彼女の体温が伝わってくる。それがあまりにも愛おしくて、私はくすりと笑った。






A「ありがとう。」

Aを彼女の部屋まで送り届けると、Aはそっぽを向いたままぶっきらぼうにそう言った。それさえも可愛く思えて、私の口角は自然と上がっていた。

仙蔵「くれぐれも、無理はするなよ。」

私はそう言って、Aの部屋をあとにした。




戸を後ろ手で閉めて、ほう、と息を吐き、考える。


『中度の捻挫だって。2週間は安静に。』


彼女の言葉を聞いて、ほっとした。

山の中で、立ち上がろうとしたAがよろけたときは、本当に肝を冷やした。
医務室の前で彼女を待っているときも、

もし、靭帯が切れてしまっていたら?
もし、骨を痛めてしまっていたら?
もし、このまま一生歩けない、なんてことになったら?

そんな悲観的な考えが頭に浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返した。彼女のことになると私の頭は冷静ではなくなってしまうようだ。


大袈裟なのはわかっている。そんなこと、あるわけない。頭ではそう分かっていても、私の鼓動は早くなって、Aのことばかり考えてしまう。現にAにも、「ただの捻挫だ」と笑われてしまった。
でも私は、どれだけ笑われようとも、過保護だと馬鹿にされようとも、彼女のことが心配なのだ。


それだけ大切だし、それだけ愛している。



彼女が傷つくことのないように、希望を失うことがないように、私がこの一生をかけて、彼女を守ろう。

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ベアちん(プロフ) - たうふ★さん» コメントありがとうございます。そのお話私も描きたいなーって思ってたんです!!リクエストは順番に消化してくのでちょっと時間がかかると思うんですが、楽しみにしていてください! (2021年11月2日 23時) (レス) id: e1de9352a4 (このIDを非表示/違反報告)
たうふ★(プロフ) - はじめまして!リクエスト失礼します!夢主ちゃんが拐われて、仙蔵がボロボロになりながらも夢主を助ける(語彙力)というお話が見たいです! (2021年11月2日 20時) (レス) id: 875905f17e (このIDを非表示/違反報告)
しゅる - 久々の更新だ〜!待ってました!学園長…思い付きをやめてもらいたい…! (2021年10月26日 23時) (レス) @page46 id: 29acc038ba (このIDを非表示/違反報告)
しゅる - 私のコメントありがたい!←調子に乗るな(^言^)これから、たくさんコメントしますね! (2021年10月12日 20時) (レス) @page45 id: 29acc038ba (このIDを非表示/違反報告)
ベアちん(プロフ) - しゅるさん» コメントありがとうございます。リクエスト大歓迎です!心得ました!少々遅くなるかもしれませんが気長にお待ちくだせえ…。 (2021年10月12日 7時) (レス) id: e1de9352a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベアちん | 作成日時:2021年7月19日 14時

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