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〜潮江文次郎視点〜
とても実習中とは思えないような馬鹿馬鹿しい話をしているうちに、どれだけ歩いたのか。気づけば俺たちは山頂に立っていた。
周りには誰もいない。Aは皆山頂を目指すはずだと言っていたが、俺たちが1番ということか。
隣にはAが立っている。段々と強くなってきた5月の日差しに肌が照らされて、元々そんなに黒くない肌が、さらに色白に見える。そして、彼女の長く艶やかな髪の毛が、爽やかな風に吹かれてなびいている。
文次郎「なぁ、仙蔵。」
しまった、と思った。白い肌が、長く綺麗な髪が、あまりにも同室の立花仙蔵に似ていて、無意識にそう呼んでしまった。
Aは一瞬驚いた顔をして、またいつもの人を揶揄うときの顔に戻った。
A「おやおや、同室が恋しいですか?」
文次郎「ち、違うわバカタレ!」
A「ふーん?」
あーあ、どうせまたこれをネタに揶揄われるに決まってる。この前だって、俺が女装実習の補習をしてたときに仙蔵と伊作とやってきて、散々揶揄われた。
……それにしても、似てるよな。見た目もそうだが、性格とか。頭が切れるところとか、人を揶揄うのが好きなところとか。今思えば、さっき歩いている時のAの俺を馬鹿にして笑った顔は、記憶の中の仙蔵の顔とぴったりと重なる。
恋人ってのは性格まで似てくるものなのか?それとも似ているから惹かれたのか。
〜その頃の立花・御園ペア(御園律希視点)〜
律希「せんぞー、誰もいないよ。」
仙蔵「もうすぐ山頂だ。そこに行けば誰かしらいるだろう。」
律希「そっか。」
今は実習中。私は仙蔵とペアで、今は山頂を目指して山道を歩いている。
私は頭を使うのはあんまり得意じゃないけど、せめて仙蔵が考えた作戦を完璧に実現しよう。
ふんっ、と気合いを入れて息を吐き、隣を見ると、仙蔵は涼しい顔をして歩いている。
こうしてみると、綺麗な顔してるな…。なんなら肌は私より白いし、髪も綺麗だ。そういえば、私の同室も綺麗な髪をしてる。どうしたらあんなサラストが生まれるんだろう。私はくせっ毛だしなぁ。
律希「ねぇ、A。」
私は前を向いたまま、何となく声をかけた。
仙蔵「……私はAではないぞ。」
少し時間を置いて、返事が返ってきた。あれ、私今Aって呼んだ?
律希「あ、ごめん!なんかあまりにも似てるなーって思って!」
仙蔵は呆れたような顔をしていたが、彼の白肌に少し赤みがさしたのを、私は見逃さなかった。
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ベアちん(プロフ) - たうふ★さん» コメントありがとうございます。そのお話私も描きたいなーって思ってたんです!!リクエストは順番に消化してくのでちょっと時間がかかると思うんですが、楽しみにしていてください! (2021年11月2日 23時) (レス) id: e1de9352a4 (このIDを非表示/違反報告)
たうふ★(プロフ) - はじめまして!リクエスト失礼します!夢主ちゃんが拐われて、仙蔵がボロボロになりながらも夢主を助ける(語彙力)というお話が見たいです! (2021年11月2日 20時) (レス) id: 875905f17e (このIDを非表示/違反報告)
しゅる - 久々の更新だ〜!待ってました!学園長…思い付きをやめてもらいたい…! (2021年10月26日 23時) (レス) @page46 id: 29acc038ba (このIDを非表示/違反報告)
しゅる - 私のコメントありがたい!←調子に乗るな(^言^)これから、たくさんコメントしますね! (2021年10月12日 20時) (レス) @page45 id: 29acc038ba (このIDを非表示/違反報告)
ベアちん(プロフ) - しゅるさん» コメントありがとうございます。リクエスト大歓迎です!心得ました!少々遅くなるかもしれませんが気長にお待ちくだせえ…。 (2021年10月12日 7時) (レス) id: e1de9352a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ベアちん | 作成日時:2021年7月19日 14時