【銀魂】花時の青い夢【合同企画】 (ページ39)

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────これは夢だ。

違和感だらけの光景はつまりそういう事。
私はトロフィーと優勝旗を両手で抱え込んでいる。周りには喜び合うチームメイトだけではなく、私達が敗れた相手までもが祝福していた。そんな事実はどこにも無いのに。

「あぁ、なんてひどい夢」

声を上げて泣くのも馬鹿馬鹿しい。

「…………、……い、おい」

「ふっ、ぁay&@m……？」

「なんつー返事してんだ」

「……いまなんじ」

「四時半」

「授業終わってんじゃん……なんで誰も起こしてくれないの……」

目が覚めると高杉君に顔を覗き込まれていた。
枕代わりになっていた腕がジンジンと痛む。酷い倦怠感に思わず眉をひそめ、両手を思いっきり上げて伸びをした。

「ふぁ～ぁ……というか、起こしてくれたんだ、ありがと」

「別に。……で、お前」

「ん？」

不意に、高杉君が口を開く。
彼は自分の机に寄り掛かり、私を見下ろしている。伏し目がちになった瞳にすこし心臓がドクリと跳ねた。くっきりとした二重と長い睫毛。
こうして目が合う時、怖い、と思う反面であ、かっこいいなってたまに思う。

「この後空いてるか？」

「放課後？図書館行こうかなって思ってた」

「そうか、なら行くぞ」

「えっ？」

たったそれだけを言うや否や、高杉君は私の手首を掴んで強引に立たせた。そしてスタスタと廊下の方へ歩き出し、私はそのまま引きずられる形となった。

「えっ、いやちょっと待って、」

咄嗟に鞄を掴んだのはいいが、机の上はまだ中途半端に片付けられただけの状態だ。
しかし彼がそんな事気にする訳が無く、私はやむなく教室から強制退去する事となった。

◆◆◆

視線が、痛い。ついでに言うと、強く掴まれた手首も。
下を向いているはずなのに自然と注目を集めている気配を感じる。
いや、もしかしたらと思い、恐る恐ると顔を上げてみたが、すれ違う人達は私達をまじまじと見ていた。

「たっ……高杉君……自分で歩くからっ、」

高杉君の返事は無かった。むしろ手により力が入った気さえする。圧迫感の強さに思わず顔を顰める。

もう一度声をかけようとした時、ふと、一人の女子と目が合った。
微かに見開かれた瞳の中に、形状しがたい何かが込められていた。

背中に伝う冷たい汗が一筋。ぞわりとするその感覚に思わず鳥肌が立った。私はその何かを知っている。

「た、高杉君……！」

今度は声を潜めて、でも彼にはしっかりと聞き取れる様に、悲鳴じみた声で話しかけた。