あの音を掴んで。ー第二楽章ー【ヘタリア】

49曲目。 ページ10

Aside














楽器が到着し、菊たちと合流した。


リハーサル室に向かう途中である。






烏「もう、最後の練習なのね…」

澳「ええ、少し寂しいものがありますね」




洪「それほど舞台に立つことが近づいてるのね」


瑞「この曲を演奏できるのは今日が最後だ」




西「それだけ時が流れるっちゅうことは、早いんやね…」

普「不安がるな、俺たちの全力を尽くしてやるだけだぜ」




ギル先輩の言う通り。

不安になったら自分に自分が負けるんだ。









南伊「負けるな俺、負けるな…」

北伊「兄ちゃん…？」



ロヴィーノがなんか呟いてるけど、うん。正論だわ。










英「さぁ、リハーサル室だ」






いよいよ本番だ。

“不安”という見えない恐怖。それに襲われ、足が震える。足が動かない。













昔のことを思い出して。



米「A…？」

中「A、どうしたあるか…？足が震えてるあるよ」



心配してもらえるけれど、何も話せない。口すらも動かない。


















『ﾋｭ…』

喉の奥から嫌な音が聞こえた。今一番聞きたくない音。





『ｹﾎｯｹﾎｯ、ﾋｭ…』

私は喘息持ちだ、ここで発作するなんて…。














今年の夏のこと。私が前に通っていた高校は金賞の常連校だった。

夏の大会で私は、失敗した。ミスをした。



そのせいで金賞を取ることが出来なかった。勿論責められて、退部・退校に追い込まれた。

その時のことがフラッシュバックする。









どうやら私はストレスや不安を感じると、過呼吸と喘息が発作するらしい。









怖かった、また失敗することが。また嫌われることが。




日「Aさん大丈夫です。落ち着いてください」

菊が背中をさすってくれる。







独「怖がるな。今持ってる全力を尽くせばいい」









『ねぇ、もしもさ。私がミスしても、失敗しても、仲間外れにしない？』


加「愚問ですね、Aさん。するわけないでしょう？」





露「ふふ、アルフレッド君らしくないこと言うね」

加「僕はマシューです…」











北伊「そんなこと考えないで。ここにいるのは仲間だよ」

中「それに、Aがいたからここまで来れたある」





普「ヴェスト並みに顔が硬いぜ、A。笑えよ！」

独「聞き捨てならないな。俺並みとは」



普「そのまんまだ！」










英「いいか、A。心配なんか無用だ」

仏「自信を持って」


米「目先のことだけを考えるんだぞ！」




仲間っていいよね、温かい。

創音にいれてよかった。大好きだよ、大切な仲間たち。






私は涙を拭って前を向かなければならない。

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