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―103 霧深く  ページ3

特に全快でないのは変わらない
よって大空戦までの絶対安静を言い渡され、夜まで退屈の相手をしなければならないのかと思っていたAだったが


「体調は?」

「もう痛みもないしなんともないよ。そっちはどうだい?骸」


朝早くから「心配した」と目を潤ませながら、病室を訪れたクローム
そして彼女の体を借りて意識が交代した骸によって、むしろ楽しくもある時間を過ごしていた。


「クフフ、変わりありませんよ。水の底で心地よく眠っています。
クロームのこの体も、貴女のおかげでよい環境にありますからね、疲れが感じられません
まぁ、貴女の事が心配で、夜通し涙を滲ませていたようですが」


泣き虫もまたいずれ直さなくては、とクロームにそうするように骸は自身の頬を撫でた。


「優しくしてやりなよ」


クロームの育成に対し容赦のない骸に、思わず苦笑してしまったA

クロームと骸の霧戦には行っていないから、Aが有幻覚として現れた骸を見るのは初めてだ。

目の前の、ベットに横付けされた丸椅子に足を組んで座る骸
ふたりに共鳴した意識空間の中で会うのと、現実に会うのはやはり違うものだと、Aは黒曜での事件とデジャヴを感じた。


「それで、何しに来たの?ただ見舞いに来たわけじゃないだろう」

「ええ。相変わらず愚かな貴女に、言いたいことがありまして」


そう言うと手を伸ばし、今度はAの頬
シルヴァに裂かれた傷を、覆っているテープの上から優しく触れる

表情はお互いに、少しの警戒と親密さと優しさが混ざり合ったものから変わらない


「進んで自らを危険に投じるのはやめた方がいい」

「ふふ、どうしたの。随分甘いことを言うね」

「…まったく、久々に笑ったかと思えばこのタイミングとは
笑い事じゃないでしょう」


微笑む程度ならよく、とは言えぬが稀に見る
しかし小さくとも声を、さらには目を細めて笑うAを見るのは、もう何年も見ていなかったのに
さらにその要因は自分の"甘い"発言だと、骸はむずがゆそうに顔をしかめてそう言った。


「確かに、知っていても無暗に動かなかった骸の方が賢かったかもしれない」


目を閉じて強制的に骸を視界から外すA
気づいていたことに気づいていた。そしてそれを骸もわかっていただろうが
改めて彼の表情を確認するのも面倒だとAは思った。


「誰も必要以上に苦しまなくていい
愚かな選択だったとしても、これは贖罪なんだ」


絞り出すような声も
その深い霧のような謎も


「贖罪ですか…いつかそれについても、ちゃんと説明してもらいますからね」

―104 調教→←―102 独りの少女



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po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
たまご - いえいえ!ぽんかんさんのペースで大丈夫です!気長にお待ちしてます!あとTwitterフォローしてます!とってもファンです!!! (2020年1月31日 20時) (レス) id: cfd662b50b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽんかん | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2019年3月17日 0時

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