―112 十代目ファミリー ページ12
沢田とその守護者7名の勝利がチェルベッロによって高らかに宣言され
次期ボンゴレをめぐる戦いは終わりを迎えた。
キャバッローネの応援も到着しヴァリアーの拘束、守護者たちの保護、破損した校舎の処理をたんたんとこなしていく
「Aちゃん!君も傷が完治してないだろう、こちらへおいで」
「ロマーリオさん…」
この戦いでは目立った負傷はしなかったがそれでも雪戦から日は経っていないし、昨晩の打ち身も残っており体は包帯だらけだ。
そんなAを案じたロマーリオは彼女に駆け寄ったがそれをAは控えめに断わり、横たわるザンザスの元へ歩み寄った。
それに気づいた雲雀と了平が保護に急かされる足を止め、じっとその先を見つめる
ザンザスの脇へ膝をついたAはそのまま細々と話し始めた。
「怒りは忘れなくていいと思うんだ。
…貴方のやり方が間違っていたのかさえも、私にはわからないから」
「っおい、君!」
ザンザスを担架に乗せて治療を始めていた者達がAを咎める
当然だ。彼女の発言は今回の事態を容認するようなものなのだから
意識はとうにないものだと思っていた。
ザンザスがうっすらとひらいたまぶたの向こうでAを見つけると、その瞳がゆれた。
「…日の元で生きてきた人間は眩しすぎるね」
私たちは一生、彼らのようにはなれないし
近づくことさえも出来ないんだろう
「理解できなくて当たり前なんだ」
「…Aちゃん、行くぞ」
困惑、緊迫、悲愴
Aとザンザスを囲んでいたキャバッローネのファミリーたちが様々な表情をする中、ロマーリオはAの肩を抱えてその場から離れさせる
そうしている間にも怪我人は医療機関へ順々に送られていて、残るは雲雀、了平、Aの3人だけとなった。
出会った頃よりも感情豊かになったはずだった。
しかしロマーリオに連れられて合流したAの顔には、何も見えない
ただ彼女のまとう空気が悲しさに満ちていて、どうしようもなく泣き叫びたくなった了平はその理由がわからず
いやにむしゃくしゃしたその勢いのまま、隣に座らされたAの肩を強く抱いた。
「…なに」
「トガセ。お前はお前だからな」
突然の事に驚いて顔をあげたAに了平は続ける
「誰も傷つかないように、守るために力を使うお前は良い奴だ!
自分の身をかえりみないのは気にくわん!直せ!」
「…なんだそれ」
それが了平なりの励ましだということは考えずともわかって、あまりに不器用なそれに思わず笑った。
雲雀と了平がそれを見て固まったのは、ただ単に驚いたからだった。
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po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
たまご - いえいえ!ぽんかんさんのペースで大丈夫です!気長にお待ちしてます!あとTwitterフォローしてます!とってもファンです!!! (2020年1月31日 20時) (レス) id: cfd662b50b (このIDを非表示/違反報告)
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