第5話「夜」 ページ5
賑やかだった街を暗闇が覆い尽くした頃───。
夜の静けさの中、ひたすらに歩く青年は、肌を掠める夜風に、まるで心まで冷やされたかのような錯覚をした。
彼が何処へ向かっているのか……
否かではないが、時折その筋の通った綺麗な鼻を、痙攣したようにひくつかせる姿は、まるで腹を空かせ獲物を探る野犬のよう。
そして歩みを進めながらも、何やらポケットから黒いスカーフのようなものを取り出したかと思えば、それを視界すらも妨げるように、夜にも負けない漆黒を、その端正な顔に纏わりつかせた。
視認できるのは、まるで生気を無くした左目のみ。
それでも尚、どこかフラフラとした不安定な足取りが止まることはなく、住宅街を過ぎやっと停止したかと思えば、青年の前に立ちはだかる其処は、鬱蒼とした森であった。
草木は何処と無く生い茂っていて、青年と同じく、生気が全く感じられない。
深く、ひたすらに暗闇だけがそこに存在していて、たとえ昼間に来てもそこに光が届かないことは一目瞭然だった。
青年は再び鼻をひくつかせ、何かその奥にあるものを確認したみたいに、一切の迷いを見せず、怖いもの知らずで森の中を突き進んで行く。
そこでやっと、青年の目に鈍い光が宿った。
それはまるでこの森の生気を吸い尽くしたのが、彼なのではないかと疑う程に、鬱蒼とした樹海に反して、"狂気的"な生気。
その様はまるで、生を吸い尽くす死神を連想させる。
不安定だった足取りはやがて活気的に。
今から家族揃って遊園地に行くんだとでも言いたげな、無邪気な子供と対等するその脚取りは……─────それにしては彼の向かう先から、何やら異臭が溢れ出てないかと、不穏な空気が蔓延り、無条件に不安感を抱かせる。
……何かがおかしい。
鬱蒼としていた木々が晴れ、僅かな月明かりが差し込んだ空間。
そこに広がる赤い湖は、夜に浮かび上がる光を憎たらしく睨むように、自らに反射していた。
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Acer(プロフ) - ボブさん» 見てくれてありがとうございます！それに褒めていただけてとても嬉しいです！お返事が遅くなってしまってすみませんでした…＞＜ (2020年5月31日 19時) (
レス) id: 5b56e0d54c (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - めっちゃおもろいですね 俺は東京喰種とヒロアカが大好きなんで すごくいいなーって思いました 文作るのすげーうまいっすね 俺やったら全然分とか作らないんですげーと思いました (2020年4月28日 21時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
Acer(プロフ) - 夏希さん» そう言ってもらえるなんて光栄です！コメント諸々ありがとうございます！ 多分次の更新がきたときは同時に続編が出ると思いますので そちらの方で引き続き目を通してくれたら幸いです。ここまで読んでくださりありがとうございました！ (2018年8月2日 17時) (レス) id: 9d909c4f1f (このIDを非表示/違反報告)
夏希 - めっっっちゃ面白いですね！！更新がすごく楽しみです^^ (2018年8月1日 20時) (レス) id: c79d085b3f (このIDを非表示/違反報告)
Acer(プロフ) - ですがこれから本編に関係のない更新をした際 文字数の関係でお伝え出来ないことが稀にあるかもしれませんが なるべく明記しようかと思います…！ 貴重なご意見ありがとうございました…！ (2018年6月10日 18時) (レス) id: 9d909c4f1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Acer | 作成日時：2018年4月27日 0時
