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大毅side
大「もしもし、神ちゃん?俺やけど」
智「しげ!?早退って聞いたけど大丈夫なん?」
ドキドキしながらかけた電話の先で、驚いた声の神ちゃんにまた泣きそうになる
大「うん、心配かけてごめん。
ちょっと入院することになって」
智「そうなん!?」
大「でな…文化祭出られなくなってん。
ほんまごめん」
智「そっか…ちょっと残念やけど仕方ないな。文化祭はまた来年もあるし、ゆっくり休んでな?」
大「怒らんの?俺のこと」
智「なんで怒んねん、しげのせいやないやん」
何も言わず、何も聞かずそれだけを返してくれた優しい神ちゃんの言葉が
心の中にどんどん折り重なる。
智「お見舞い、行ってもいい?」
大「あっ…ごめん多分しばらく無理やねん」
智「そっか…じゃあまた電話しような?
しげおらんと、学校つまらんし」
大「はははっそうやんな、俺おらんと学校つまらんもんな!わかった!」
神ちゃんの声にめっちゃ元気出て、通話が切れて
淳太が受話器持ってくれてたことを思い出す
大「終わった。
聞いた?俺おらんと、学校つまらんねんて!」
淳「はいはい、聞いた聞いた」
大「めっちゃ良い友達やろ?」
淳「そうやな」
大「おい、話聞かんといてって言うたやん!」
淳「お前!もう戻るぞ!」
大「淳太!」
淳「なんや」
大「ありがとう、連れてきてくれて」
素直な俺の言葉にグッときたんか、イラついた顔から泣きそうな顔する淳太
俺ももう18歳になったし
淳太がしてくれてること厳しいのも全部が俺のためやって
わかってるよ、ちゃんとわかってる。
大「いつも、ありがとう」
淳「っ…こんな時だけなんやねん」
大「部屋戻ろ、押してや」
淳太の頬に一筋の涙が流れていくのを、見てないふりして前を向く
当たり前はいつも、俺にとって特別やけど
当たり前がないからこそ、もう2度とないかもしれない一分一秒を一生懸命生きられる
それを教えてくれたのは、淳太やったと思う
だからこれからもずっとずっと、頼りにしてる。
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作者名:時生 | 作成日時:2022年8月21日 1時