2 ページ39
淳太side
研修医が終わって一年目の頃から担当してる大毅とはもう10年以上の付き合いになる
明るくて学校が大好きだった大毅は、ずっとずっと普通に学校に通うことを夢見てて
18歳になってやっとまともに高校通えるようになって
通院も真面目にしてたし今回はもう少し待ちこたえられると思ってんけどな。
反抗期やし、文化祭にどうしても出たくて親にも体調悪いの隠してたらしくて
制服のまま寝かされてて顔見に行っても、顔真っ白やし熱高過ぎてガタガタ震えてるし
淳「はぁ!?」
来院の報告もらってすぐした採血の結果見て思わず大声が出た
炎症反応もえらいことなってるし、こんなデータでよく3日も学校行ってたなって感じや
大「淳太、うるさい…」
淳「炎症落ち着くまで今日から入院な、部屋から出たらあかんぞ」
大「入院、したない…」
淳「入院以外ない」
大「嫌やっ…明後日…文化祭やねんもんっ…」
俺やって、大好きな学校を大毅から取り上げたくはない
嫌がって子供みたいに駄々こねる大毅見てたら可哀想やけど
これ以上熱が上がって悪化したら取り返しのつかないことになる
淳「入院の方向でお願いします。
とりあえず、親御さんに入院の連絡入れて空いてる病室に移動しといて?」
「わかりました」
俺が看護師に指示を出す間も熱で定まらない視線をフラフラさせながら、大きな目がうるうるしていくのが見える
大「淳太の…いじわるっ…ヤブ医者っ!」
淳「なんとでも言え」
大「俺、帰るから……」
今すぐにでも帰りたいのにベッドに寝かされたまま何もできない無力感で溢れ出した涙で、また大毅の呼吸が早くなる
1年目の頃、俺の甘さで大毅の病状が悪化してしまった時に大毅について指導医から指導された
本当に患者のことを思うなら、厳しいことも言って事実もしっかり伝えろ、と
だから俺は今日も心を鬼にする
全部、全部大毅を守るためや。
609人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:時生 | 作成日時:2022年8月21日 1時