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大毅side
色々考えながら歩いてたら後ろから車来てたの気付かんと、ちょっとぶつかった
クラクションなんか、後ろからどんだけ鳴らされてもわからんし…ほんま道路歩くん怖い。
手と足捻挫して、筆談のためにペン持つんは痛いし
聞こえない俺にとって、手話が伝わらない世界に放り込まれたらもう言葉を失ったも同然。
話しかけてくれてるのは分かってても、内容までわからんから地味に辛い孤独な時間が過ぎていく
両親が仕事で家あけてる今、流星に頼るしかなくて頑張って電話番号だけ書いてんけど
めっちゃ怒ってたし、また喧嘩してしまったけど流星が来てくれた時
抜けてる時もあるけど頼もしい弟の姿と、やっと俺の言葉が伝わるんやってホッとした。
流『もう帰ってええってさ』
手話が伝わる様に、俺の方を向いてくれてるだけで会話が終われば目を合わせることもない流星
思春期の高校三年生、兄ぃちゃん嫌いな気持ちもわかるから
迷惑かけたなって、本気で反省。
帰るためにベッドからさっと立ち上がろうとしたけど、さっき捻挫した足が痛くて力が入らん
流『どした?』
大『なんでもない…』
流『帰るよ?』
大『分かってる』
そう返しても、なかなか立ち上がれない俺にまた流星が話しかける
流『足痛いん?』
大『いや…』
流『痛いんやろ?別に強がらんでええって』
情けなくて返す言葉のない俺の顔を見て、何も言うてなくても全部伝わってしまうらしい
ちょっと待っててって、病院の人と話してくるっていなくなって5分くらいしたら車椅子持って帰ってきた
流『しばらく貸してくれるって』
大『ええって…恥ずかしい』
流『松葉杖だと手話ができひんくなるから、しょうがないやろ?』
大『そうやけど…』
いつも抜けてるのに、こんな時はめっちゃ頼もしい弟に車椅子乗せられて帰る俺
流星が優しすぎて泣けてくるわ
1人では、何にもできないし想いを伝えることすらできない
俺…めっちゃダサいな、情けないな。
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作者名:時生 | 作成日時:2022年8月21日 1時