彼女は宝物のように大切に閉じ込められている。【d!】 (ページ26)

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考えてもそれ以上、昔の記憶を思い出すことは叶わなかった。

はあ、とぶつけようのないかすかな苛立ちにため息をつく。

その時コンコン、とドアがノックされ、マンちゃんの声が聞こえた。

｢入ってええ？｣

｢どうぞー｣

ペ神がのんびりと答え、ドアが開いた。

｢あ、起きたんやね！よかっためぅ〜、ほんと心配したんだから！｣

ぷんぷん怒るマンちゃんは可愛かった。

｢心配かけてごめんなさい。これからリハビリがんばる｣

｢頑張って貰わんと困るで。こっちもヒヤヒヤさせられたくないわ｣

真剣な口調に顔を上げると、マンちゃんは眉を下げていた。

｢……ごめんなさい｣

｢ん。これお見舞いの品｣

すっ、と花束が手渡される。

｢わぁ｣

｢きゃー、イケメーン｣

ペ神が棒読みでそう揶揄う。

花束に顔を近付けてみると、ひょこっと花の合間で何かが動いた。

｢わっ｣

それは、ちょうど私が親指と人差し指で作った輪っかくらいの大きさの生き物だった。
頭に三角形の耳が付いていて、球状の動きにくそうな身体からは手足がにょきっと生えている。

｢あ、お前紛れ込んじゃってたん？…その子は俺達が生み出した使い魔やで。雑用係みたいにこき使わせてもろてるんよ｣

その言葉を聞き、使い魔らしきソイツが怒ったように目を吊り上げた。
可愛らしいフォルムのせいで、怒った顔をしていても迫力がない。