彼女は宝物のように大切に閉じ込められている。【d!】 (ページ25)

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夢主視点

薬品の匂いが鼻をツンと刺激した。
寝返りを打った拍子に脳が覚醒する。

目覚めるとベッドの上だった。

頭がズキズキ痛む。

私の動く気配を察知したのか、ペ神が｢お、起きたね｣と声を掛けた。

私の頭は包帯でぐるぐる巻きで、腕や足も所々打撲痕があった。

｢･･･で、どういう状況で階段から落ちたの？相当痛かったでしょ｣

あ、そっか。私階段から落ちたんだ。
やっと気絶する前のことを思い出す。

｢なんか、ふらってして｣

｢抽象的だなぁ｣

｢･･･ごめんなさい｣

たくさん迷惑をかけてしまっただろう。
ベッドの脇に、シャオちゃんやらんちゃん達からであろうお見舞いの品が積んであった。

｢別に謝んなくていいよ！？ただ、リハビリはこれからきちんとしていこうか｣

｢はい｣

大人しく頷くと、ペ神は満足気に笑い、飴玉を差し出した。

｢あげる。おやつの時間｣

｢わぁ、良いんですか？｣

甘いものは好きだ。
いちごミルクの飴を口に放り込む。

甘いものはエネルギーの源。

昔もよく食べていた気がする。グルッぺンと、オスマンと･･････。

昔？

目覚めてから、グルッぺンとマンちゃんと甘いものを食べたことなんてなかったはずだ。

どこからともなく引っ張りだされてきた記憶に慌てる。
妄想にしてはやけにはっきりとした風景だった。

これはもしかして、目覚める前の私の記憶？

考え込む私に、ペ神は不思議そうに首を傾げた。