彼女は宝物のように大切に閉じ込められている。【d!】 (ページ14)

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いつまでもテディベアに抱きついて離れない私を見かねて、らんちゃんは｢そろそろこの家案内したいんだけど、その子も連れていく？｣と提案してくれた。

お言葉に甘えもふこを抱えて部屋を出る。もふこ、というのはテディベアの名前。
誰だセンスないとか言ったやつ。

｢わ｣

どすっ、とらんちゃんにぶつかってしまった。いきなりらんちゃんが立ち止まったようだ。

耳についている通信機器から連絡が来たらしい。この家が広すぎて情報の伝達には通信機器が必須なのかもしれない。

らんちゃんは二言三言話すと通信を切り、私に向き直った。

｢グルちゃんに呼ばれちゃったから俺行くね。代わりの人寄越してくれるらしいから少しの間そこにいて｣

らんちゃんはごめんね、と申し訳なさそうに謝ってさっさと行ってしまった。もう少し躊躇せんか！

人気のない廊下に一人ぼっち。
誰かと一緒だったから何も感じなかったけど、よく考えたらだいぶ趣がある。壁には額縁に入った絵が飾られているし、燭台では照明が足りず物々しい雰囲気を演出している。

一言で言うと、怖いってことだ。

自分を守るようにもふこを固く抱きしめた。誰かは知らんが代わりの人、早く来い。いや来てください。