【d!】許嫁とか古いでしょ【shp】 (ページ3)

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その日はずっと鬱々とした気分のまま過ごすことになった。

心做しか空もどんより曇っている。

委員会の後、玄関から出ようとしたとき、小雨が降り始め一瞬で土砂降りに変わった。

｢嘘でしょ･･･傘ないんだけど｣

友達を呼ぼうかと思ったが、校内にはもうまばらにしか人がいない。今頃は家に帰っているだろう。

諦めて雨の中走り出そうと足を出した瞬間、

｢何してん？｣

後ろから声が聞こえた。少し舌っ足らずな低い声の主は彼。

｢ショッピくん･･･｣

え、気まずい。あんなやりとりを聞いてしまった手前、どんな顔をすればいいのかわからない。

｢･･･傘ないんですか｣

｢う、うん。天気予報しっかり見なきゃだめだね｣

｢折り畳み傘ならあるけど、貸しましょうか｣

｢えっ！？いいよ、ショッピくんが濡れるじゃん｣

｢そっすか｣

会話が途切れ、雨音だけが耳に届く静かな空間。

｢折り畳み傘あるなら先に帰りなよ？｣

その場から動かないショッピくんが不思議で声をかける。

｢俺も友達待ってるんで｣

｢あー、余計なお世話だったか｣

そこから話は特に発展しなかった。

もう数年交流がない彼と、どんな距離感で接すればいいのか。
許嫁だということを、彼はどう捉えているのか。