Re:疲れてしまったあなたへ《赤》

39.バイト始めたてで失敗ばかりのあなたへ ページ30

〆．



駅前のCDショップでバイトを始めた。



…………のはいいんだけど。



「ちょっと小瀧さん？次の特集は映画の主題歌って言ったよね？リストに関係ないの混ざってるんだけど」



「あ、す、すみません！」



「配架もバラバラだったし……もうちょっと頑張ってよ」



はあ、とため息を残し、先輩は持ち場に戻っていった。



「すみませーん」



「は、はい！」



落ち込む間もなく、お客さんのお会計。



「新作レンタルなので……」



「あの、中古なんですけど」



「え、あ、あっ、すみません！中古レンタル、」



お会計の手順を書いた紙を読み、なんとか済ませる。



「ありがとうございました、」



平日の昼間なのでそこまで人は多くなく、それ以上は接客することなくバイトが終わった。



今日は本当にダメダメだった。



更衣室からスタッフ用出入り口に向かっていると、しげ先輩に遭遇した。



「よっ、お疲れ〜」



「お疲れ様です」



そういえばしげ先輩もシフト入ってたな。



いつもはカウンターでお会計について教えてくれてるけど、今日はDVDコーナーとアダルトコーナー専門だったらしく会いもしなかった。



「男の癒しのコーナーやで」



「最低〜…」



「ははっ、嘘やって。熟女とか興味無いし」



「だから最低ですってば」



流れで途中まで一緒に帰ることに。



お互い近所だし、必然的に出身校も同じだったりして、それで仲良くなった。



「頑張ったし、飯食いに行かん？俺の奢りや奢り」



「わあ！ごちですっ！」



「ちょっとは遠慮せぇ！まあその反応の方が気持ちええけど！」



先輩に相談しちゃおうかな。



バイト始めたばかり、なんて言い訳が通用しないくらいミスしてるし……



私には向いてないのかな、辞めた方がいいのかなって思っちゃってること。



「Aは頑張り屋さんやから、なんでも食ってええで！」



頑張り屋さん………



「……でも、結果伴ってないし、」



メニュー表を眺めて、今度は私が息を吐いた。



〆．

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