Re:疲れてしまったあなたへ《赤》

(^ワ^=)【リクエスト】 ページ19

〆．



「………別に、Aのしてること否定したいわけやない。でもお前ほんまわかりやすいで？」



「何が…」



「心が疲れてるって。お見通し」



「心が疲れてる？」



「不器用やなぁ…」



しげが私の顔を覗き込み、「くまできとる」とそこを親指でなぞった。



「Aって、普段はめちゃくちゃ甘えん坊なん自覚してる？」



「あ、甘えん坊？」



「可愛ええんよなぁ。まぁそれはええけど。かまってちゃんやし、人懐こいし。やのに、ほんまに甘えたい時、



甘えなAが潰れてまう時に限って甘えてこーへんねん。わっかりやすいわ。自覚してへんのはこわいけど」



「…………………………」



「Aに、断る勇気がないんも知ってる。どれだけ自分を第一に考えようとしたって困ってるやつに手ぇ差し伸べてまうんも知ってる。



やから俺は、言うてんねん。Aが少しでも気に病まんとあいつらから離れられる方法を。Aの考えは見習うべきやけど、それで自分を大切に出来んのは違うやろ」



しげは私の手から水筒を抜き取り、蓋を開けて返してきた。



「てか、甘えてもらわれへんの寂しいんやけどー」



「………ありがとう」



「ほらまた。もー、ありがとうが安くなりすぎ！感謝の言葉として多用するんはまあええんやろけど、



素直に甘えへんくせに、Aにとってプラスになってないくせに、ありがとうなんか言うな。てか蓋開けただけやねんけど」



「なってるよ、プラスに。しげの言葉、嬉しい」



「はっ………………おう、」



「照れてる」



ありがとうって、無条件にいい言葉だと思ってた。



親切って、無条件にいい事だと思ってた。



どちらも、多ければ多いほどいいと思ってた。



でも、しげは違うと教えてくれた。



「Aはとにかく！なるべく断れるようになれ。それが無理なら、俺に甘えられるようになれ」



「しげに？絶対しげになの？」



「俺以外に頼る相手おるん？」



「友達なら別に………いや、そんな絶望した顔しないで？どういうこと？しげに甘えたらいいの？」



「……そう言うとるんやけど！！」



「いや、逆ギレやん……」



一人でも甘えたり相談できる相手がいれば違う、ってことなのかな。



「じゃあ、甘えていいですか？シャイ岡くん？」



「腹立つ！！ツラ貸せ！！」



〆．

34.壁を作ってしまうあなたへ→←33.周りから頼られ過ぎるあなたへ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す