Re:疲れてしまったあなたへ《赤》

33.周りから頼られ過ぎるあなたへ ページ18

〆．



「A〜、お願いっ！」



「もう、しょうがないなぁ」



姉御肌。そんな言い方をするのだろう。



自分で言うのもなんだけど、私はしっかり者で、責任感があり、任せられた仕事に対しては真摯に向き合ってやり遂げるタイプ。



そうしないと自分の気が済まない、というのもあったけれど、



過去のそれによって周りから異常に信頼され、困った時のA……という認識をされてしまっている。



そのくせ私が少しでも失敗すれば酷く残念そうな顔をし、私一人に与えられるプレッシャーが相当量だと誰も気付いてくれない。



だけど……私が少し頑張ることによって、みんな楽になれるんだったら、それでいい。



「ちゃんと見ててね？次からは自分でできるようになって！」



「はぁい」



「でも、わかんなかったら聞いていいから」



「さすがA！」



困った人を見つけたら、放っておけない。



自分で対処できなさそうだったらもしかしたら無視しちゃうかもしれないけど、



大半は声をかけてしまうんだ。



「……こうするの、わかった？」



「うん！ほんとにありがとう！」



キラキラの笑顔を最後に向けられ、無事に任務完了……と安堵。



まだ高校生だけど、もう高校生とも言える。



先生にだって頼られてしまうし、なんとなく自分が周りより大人びて感じることもあるし、



ひと足早く大人になった感覚。



「…………ありがとうって、やっすい言葉やな」



「へ？」



席に戻って水筒を取り出した私の前に、友達のしげが現れた。



「だってあいつら、人にどんだけもの頼んでも、どんだけ苦労かけても、ありがとうの一言で済ませるやん」



「え、でもお菓子くれたりするし、」



「そういうことちゃうわ。Aの親切心を利用して甘えまくってんねん。気付けや、そんなん誰のためになんねん」



「………………………、」



「あいつらが甘えまくりのダメ人間になるん促進させてるだけやぞ。断れや」



どうして、そんな言い方されるんだろう。



「だって、情けは人の為ならずっていうじゃない？別に、私はただの親切心だけでやってるわけじゃない。自分にもなにか利益があるからやってるの」



「それが結果、どうやねん。何回同じこと頼まれた？あいつら成長してへんやろが」



彼が何に対してイラついているかがわからない。



つまり、私はいいことをしているつもりで、悪いことをしていたと言うのだろうか。



〆．

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