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Aside

しばらくの間、私はライの傍で監視役を任された。

対象人物が来るまでの間、ライは私の面倒を見てくれていた。


『お前、まだ若いだろ。どうしてこんな所にいる?』

『家族のため。私がもっともっと頑張れば、みんな幸せになれるの。一緒に暮らせるの。だから、頑張らなくちゃ』

『いつからいるんだ?』

『小さい頃から』

『学校には?』

『学校?……行ったことないなあ』


そう零せば、ライは顔をしかめる。


『……お前はそれでいいのか?』

『?どういう意味?』


ライが言っていることは、よく分からなかった。

だって、父さんが言ったもん。

ベルモットや他のみんなだって、私が上手く仕事をこなせば、とっても喜んでくれる。

私がみんなの言うことを聞いて、ちゃんと頑張っていれば。


『お前自身の意見はどうなんだ。辛くはないのか』

『……辛い、って?』

『この仕事を、お前は好きでやっているのか。それとも、言われたからその通りに動いているだけか』

『言われたからやってるよ。好きも嫌いもない』


ライが驚いたように目を大きくした。

そうして私に手を伸ばし、くしゃりと髪を撫でた。



『家族は好きか』

『大好きだよ!』

『……そうか』


ずっと、ライは冷たい人だと思っていた。

でも、ライの目は怖いけれどその中に明るさがあった。

兄ちゃんとは違う、優しさがあった。

だからだろうか。

彼がノックだったと聞いて、あまり驚かなかったのは。

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時雨(プロフ) - まことさん» ご意見ありがとうございます。読み始めてもらえて嬉しいです!参考にさせていただきます。 (2019年10月18日 7時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
まこと(プロフ) - 3でお願いします 新たに読み始めたので続きが気になります (2019年10月16日 17時) (レス) id: 9abb2adce4 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - ☆三日月☆さん» ご意見ありがとうございます。何年でもなんて嬉しすぎます!参考にさせていただきます。 (2019年10月15日 19時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
☆三日月☆(プロフ) - 何年なっても待ち続けるので3でお願いします! (2019年10月14日 16時) (レス) id: 0e61e2fc0f (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - あーちゃんさん» ご意見ありがとうございます。面白いストーリーや、もったいないなど、すごく嬉しいです!参考にさせていただきます。 (2019年10月8日 12時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨 | 作成日時:2019年7月15日 13時

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