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雫side
蘭さんが沖矢さんの話を出した瞬間、透くんの空気が変わった。
すごく怒ってる時の笑顔だ。
なんなの?
自分は勝手に女子高生と仲良ししてたくせに!
「何?私が沖矢さんと話しちゃいけないの?」
「別にいけないとは言っていないさ。ただ、遠くから見ても楽しそうに見えるなんて、どんな話をしていたのかと思ってね」
「そんなこと透くんに関係ないじゃない」
「……そうだね。僕には関係のないことだ」
わかってんなら最初から聞かないでよ。
「あ、あの……、二人とも……」
あ、蘭さんの前だった。
悪いことしちゃったな……。
「すみません、蘭さん。……雫、中に入ろう」
「……」
「雫」
「雫ちゃん?」
ああ、でも、やだな。
今、透くんと一緒にいるのは。
俯いて返事をしない私に呆れたらしい透くんは、しゃがみこんで言った。
「沖矢さんのこと、変なこと言ったのは謝るから。機嫌を直して」
違う。
沖矢さんのことを怒ってるんじゃない。
「な?」
ぽん、と、頭に手を置かれて、
パシッ
思わずその手を振り払った。
「雫ちゃん?」
「……雫?」
あの女子高生の髪を撫でた手。
同じ手だと思うと、寒気がした。
胸がズキズキ痛んだ。
「同じ扱いしないで」
無意識に、口に出していた。
私と同じように、他の子に触れないで。
あの子と同じように、私に触れないで。
はっと見開かれた透くんの目は、驚きと戸惑いと、悲しみを表していた。
「……悪い」
零さんの声で、そう聞こえた。
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時雨(プロフ) - まことさん» ご意見ありがとうございます。読み始めてもらえて嬉しいです!参考にさせていただきます。 (2019年10月18日 7時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
まこと(プロフ) - 3でお願いします 新たに読み始めたので続きが気になります (2019年10月16日 17時) (レス) id: 9abb2adce4 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - ☆三日月☆さん» ご意見ありがとうございます。何年でもなんて嬉しすぎます!参考にさせていただきます。 (2019年10月15日 19時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
☆三日月☆(プロフ) - 何年なっても待ち続けるので3でお願いします! (2019年10月14日 16時) (レス) id: 0e61e2fc0f (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - あーちゃんさん» ご意見ありがとうございます。面白いストーリーや、もったいないなど、すごく嬉しいです!参考にさせていただきます。 (2019年10月8日 12時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作成日時:2019年7月15日 13時